意思決定する機会がどんどん奪われていく

会社に入れば、会社が決めたオフィスに入る。それは、当たり前のことだと思っている人がほとんどです。常に、与えられるものの中で、これまでは生きていくことができたのです。

自分で探りを入れてみたり、自分で見つけようとしたり、自分で契約をする、という感覚は、多くの人が持っていないでしょう。

だからこそ、積極的な感覚を持ったり、積極的なアクションに踏み出すことの一つひとつが、自分の自立につながることに気づいてほしいと思っています。

私は会社員ではありませんが、会社員を否定するわけではまったくありません。会社員でいることは、それなりにポジティブなことも多い。ただ、自分で意思決定する機会をどんどん奪われてしまうのも、やはり会社員だということに気づいておく必要があります。

実際、オフィスだって会社が探してくれる。内装も誰かが決めてくれる。インターネット環境も整えてくれる。名刺も作ってくれる。

だから、例えばコワーキングスペースを借りるだけでも、なるほど会社は自分に代わってたくさんの意思決定をしてくれていたんだな、ということに気づくことができます。そして、本来であれば、自分で決めていかないといけないことがたくさんあることにも気づける。最も危険なのは、自分で何かを決める力を、知らず知らずのうちに失ってしまうことです。

コワーキングスペース
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すべてを会社に委ねる人の行く末

これが何をもたらすのかというと、自分の未来すら、あるいは自分の進む道すら、自分で意思決定できなくなること。すべてを会社に委ねてしまうことです。

積極的なコミュニティを自分で選んだり、積極的なアクションを自らとってみることは、意思決定をするトレーニングにもつながります。

私には『意思決定力 「決断」を仕組み化する55のルール』(ダイヤモンド社)という著書もありますが、意思決定する力はこれからますます大事になっていくと思っています。ところが、多くの人が、誰かに意思決定権を握られてしまっているのです。そのことに、気づいていない。

本田直之『パーソナル・トランスフォーメーション コロナでライフスタイルと働き方を変革する』(KADOKAWA)
本田直之『パーソナル・トランスフォーメーション コロナでライフスタイルと働き方を変革する』(KADOKAWA)

マスメディアに踊らされているのも、その1つです。自分の頭で考えず、マスメディアの言うことをそのまま鵜呑うのみにして、身動きが取れなくなってしまった人も少なくなかった。

意思決定する能力が減じてしまうと、こういうことが起こります。そして、意思決定する力を放棄してしまったら、会社に、社会に、メディアにただ流されるだけの人生になってしまいます。

意思を持って積極的に動くことで、いろんな気づきが得られるはずです。例えば積極的コミュニティに関われば、ただじっとしているだけでは得られるものは限られるのです。会社という消極的なコミュニティであれば、所属していれば、いろんなものが勝手に入ってきます。月末に給料も入ってくる。仕事の報酬として給料が得られる。