米中間の通常の外交チャンネルも復活する

このことは、通常の外交ルートが健全に機能するようになる予兆でもあり、またアメリカと主要国とのコミュニケーションもより円滑なものとなることを意味する。それゆえ、「菅=バイデン時代」の日米関係は、安倍晋三首相とトランプ大統領との「ゴルフ外交」に見られるような、親密な個人的な友好関係に依存することになるようなことはないであろう。

むしろ、現在のコロナ禍はそのような首脳間の頻繁な往来を困難にするであろうし、また78歳という高齢なバイデン次期大統領は、安全を考慮すれば、頻繁な外国訪問は避ける必要があるはずだ。

だが、そのことが新たな困難をもたらすかもしれない。第一に、バイデン次期政権の対中政策は、従来の強硬路線が大きく転換されることはないであろうが、他方で危機管理の必要性の観点からも、さらには気候変動のようなグローバル・イシューをめぐる問題への対応の必要性からも、通常の外交ルートを用いた米中間の外交チャンネルが復活して、より緊密なコミュニケーションが行われるはずだ。

そのことは必ずしも米中協調へ急ぐことを意味せず、むしろ米中間のより厳しい外交交渉や、相手への非難の応酬へと帰結するかもしれない。また、しばしば指摘されるように、人権問題や香港の自治に関する問題などでは、トランプ政権よりもバイデン政権の方が、対中強硬姿勢を示す可能性もある。

同盟国にはより大きな役割分担を求めるか

同時に、バイデン次期政権における同盟重視路線は、同盟国により多くの役割を要求する結果になるかもしれない。トランプ政権下では、トランプ大統領の同盟国への要求は専ら、米軍駐留費の増額の問題に特化していた。

しかも、緊密な「安倍=トランプ時代」において、トランプ大統領はドイツや韓国を「フリーライダー」とみなして批判する一方で、日本はいわば特別視をして、そのような強硬な圧力をかけることはしなかった。そもそもトランプ大統領が同盟関係を重視していなかったということは、同盟国に対して駐留経費の負担の増額以外はあまり大きな要求を突きつけなかったことを意味する。