一部の病院や診療所では、売り上げを確保するため患者に言われるがままに薬を処方する場合があるという。医師の木村知氏は、「新型コロナウイルスの影響による受診控えやオンライン診療で、そのような“取りあえず処方”が今年は増えるおそれがある」という——。
オンライン診療のPC画面
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コロナ禍で患者の行動に「異変」が出てきた

インフルエンザ流行を目前にして、新型コロナ感染者の急増が止まらない。もはや全国的感染爆発といえる状況だ。

気温、湿度ともに低下する冬場はただでさえ、カゼをはじめとした感染症が増える季節。コロナ上陸前から街場の診療所が最も忙しくなる季節でもある。特に、多くの医療機関が休診あるいは休日体制を敷くことで最も医療が脆弱ぜいじゃくとなる年末年始ごろから、一気にインフルエンザ感染者が増えてくるというのが例年のパターンだ。

さて、今シーズンはどうなるだろう。コロナ禍によって昨シーズンと大きく異なる状況ゆえ、まったく予測できないというのが正直なところだ。ただ現時点で、ひとつ言えることがある。患者さんの受療行動に少なからぬ異変が起きているのだ。

コロナ上陸前は、いわゆるカゼの引き始めで受診する方が少なくなかったのだが、緊急事態宣言の頃からすっかりこのような患者さんが減った。小児はより顕著だ。以前なら続々と来院していた「ちょっとハナが出てきたので早めに」という元気な親子連れは、待合室からほぼ姿を消したと言っていい。