就職氷河期世代を襲う「高齢貧困」への不安

ちなみに、従属人口指数をみると、足許と比べて2020年代には上昇ペースが和らぐ見通しとなっている。これは、年少人口と生産年齢人口が一貫して減少するなか、老年人口の増勢が鈍化することによるものである。つまり、この間の支える側と支えられる側のバランス悪化のペースは、マクロ全体でみればやや抑制されることになる。

下田裕介『就職氷河期世代の行く先』(日経プレミアシリーズ)
下田裕介『就職氷河期世代の行く先』(日経プレミアシリーズ)

しかし、世帯や家族を単位とするミクロの視点でみれば、前述したような就職氷河期世代の厳しい状況が影響して、マクロでみた姿だけではうかがい知れない問題が、無視できないインパクトで生じる可能性が大きいといえる。

就職氷河期世代は将来への脆弱な備えにより、自身が老後を迎えた際には経済的に立ち行かなくなり、高齢貧困に陥る恐れがある。親の介護による負担増が加われば、その可能性はさらに高まることになる。

そして、就職氷河期世代の貧困問題は、生活保護の増加などを通じて、わが国の財政面にも大きな影響を与えかねないのだ。

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