欧米諸国で新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しつつある。イタリアでは11月5日から再びロックダウンに入った。ミラノ在住のジャーナリスト・新津隆夫氏は「クリスマスを無事に過ごしたいという一念で、イタリア全土がロックダウン生活に耐えているようにみえる」という——。
二度目のロックダウン入りしたミラノ市内のスフォルツェスコ城前広場で、無断外出の監視にあたるカラビニエリ(国家憲兵隊)の兵士(2020年11月7日)
写真=AFP/アフロ
二度目のロックダウン入りしたミラノ市内のスフォルツェスコ城前広場で、無断外出の監視にあたるカラビニエリ(国家憲兵隊)の兵士(2020年11月7日)

自宅から1キロ圏内であれば散歩が許されている

一日あたりの新規感染者が3万人を超え、11月5日に再びロックダウンを決めたイタリア。その前の週からすでに夜間10時以降の外出が禁止され、ちまたでは「またか」との落胆が広まっていた。コロナの猛威がピークとなっていた今年3月、4月のイタリアではゴミ袋を出しに外に出ることさえも人の目をはばかるほどの緊張感があった。筆者はこの地に20年以上住んでいるが、夜間にあれほど頻繁に警察のパトカーを見たことはなかった。

今回のロックダウンも外出時には仕事か医療か食品の買いだしといった理由を明記した申請書を携帯が義務付けられ、それに違反した者には400ユーロ(約5万円)の罰金が科せられる。屋外では常にマスクが義務付けられ、居住地の市を超えての移動は禁じられる。

翌6日のニュースによれば、薬局の順番待ちの間に広場のベンチで新聞を読んでいた80代の男性1人、またBAR(バール、立ち飲みカフェ)の前で座ってコーヒーを飲んでいた老人2人に400ユーロの違反切符が渡された。

とはいえ、春のロックダウンでは不要不急の外出は犬の散歩に限られていたため、ご近所で犬を貸し借りすることさえあったが、今回は自宅から1キロ圏内であれば散歩が許されている。表通りをブラブラしている人の数が目立つし、食品店以外のすべての商店を閉鎖した春に比べると、美容室・理髪店、ジェラート店、タバコ販売店など、営業を許可されている業態もある。