新型コロナの感染拡大が続き、第3波到来と言われる中、それでも忘年会をやりたいという上司。なぜ、リスクを冒してまで忘年会をやりたいのか、どうすれば思いとどまらせることができるのか。心理学者の内藤誼人さんに聞きました——。
自宅でパーティーを楽しむグループ
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

なぜそんなに忘年会をやりたいのか

東京商工リサーチの調査によると、9割の企業が忘年会や新年会を開かないと回答。会社としては、コロナのリスクを考えてこのような方針を取るのは当たり前でしょう。

しかし年末ともなれば、全社でやらなくとも、忘年会のひとつ、ふたつはやりたいというのが男性のホンネ。「コロナ対策をしっかりやれば大丈夫。忘年会をやりたい気持ちは抑えられないんだよ!」

こういう上司世代はまだまだ多いと思われます。

では、どうして彼らはこんなに忘年会やら、新年会やらをやりたがるのでしょうか。

答えは単純で、男性にとっては、お酒を飲んで憂さ晴らしをすることくらいしか、ストレスの発散法がないから。女性の場合、仕事でストレスがたまっても、友人とのおしゃべりであるとか、スイーツを食べることですとか、岩盤浴に行ったりですとか、いろいろな形で上手にストレスを発散してしまいます。

ところが、男性にはそういうストレス発散法がありません。いや、ある人もいるのかもしれませんが、大半の男性にはありません。なので、手軽なストレス発散法として、お酒に頼りやすいのです。

ストレスの高い日に飲酒をする傾向

コネチカット大学のステファン・アメリは、25歳から50歳までの男女に、2カ月程度の日記をつけてもらいました。そして、その日記を分析してみたところ、男性は、お酒を飲むとスッキリするらしく、仕事で嫌なことがあるなど、ストレスの高い日に飲酒する傾向があることがわかったのです。女性にはそういう傾向は見られませんでした。

男性にとっては、「ストレスがたまったら、とりあえずお酒」という図式が頭の中に出来上がっていて、しかも1年間ずっとたまってきたストレスを、年末の忘年会で一気に発散したいという気持ちがあるのでしょう。

ですから、世の中がコロナだろうが、とりあえずお酒を飲みたいという気持ちが勝ってしまうのです。

お酒というのは、まことに手軽なストレス解消法。酔っ払ってくると、脳みその大脳新皮質という部分が最初にマヒしてきます。大脳新皮質というのは、私たちの「理性」を司っているところですから、ここがマヒしてくると、理性の抑制がとれて、いつもよりも楽しくなったり、幸福感に包まれたりするのですね。

男性は、お酒を飲めば、すぐに愉快な気持ちになれることを経験的に知っていますし、とんでもなく忙しくなる年末には、ただでさえストレスがたまりやすくなるので、どうしてもお酒が飲みたくなってしまうのです。