早大に吸収合併され「早大医学部」が誕生する可能性も

以上のような要素に加え、コロナが襲いかかって苦境に立つ、名門・東京女子医大。今後、経営陣はどのようなかじ取りを見せるのか注目されるが、その方向性に同じ新宿区にある有名大学がかかわる可能性があるとの指摘が以前から根強く医療業界にある。

その大学とは早稲田大学である。早大は2008年に女子医大とTWIns(=ツインズ、東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設)という連携施設を女子医科大隣接地に設けている(両大学はすでに50年にわたり、人工臓器、医用材料、医療計測の分野での共同研究を進めている。2000年には学術交流協定を締結し、2001年に東京女子医科大学は「先端生命医科学系専攻」を、早稲田大学は「生命理工学専攻」を同時に立ち上げた)。STAP騒動の小保方晴子氏が一時期在籍していたことでも知られている。

早稲田大学・大隈講堂
写真=iStock.com/mizoula
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現段階で、この連携がそのまま女子医大と早大の合併に直結するわけではないだろう。

しかし、女子医大は今回の「学費1200万円値上げ」で短期的な経営状態は改善するかもしれないが、大学関係者によれば来年度の受験者数は減って、受験料収入は減り、合格偏差値も落ちる公算が大きい。その際、学生を獲得するべく推薦入試などをことさら強化して、医師の卵として不適な学力の学生の入学を許可するようなことがあれば、6年後の同大の医師国家試験合格率も下がり、評価やブランド力のダダ下がりは必至だろう。負のスパイラルを何としても食い止めなければならない。

2008年に、順天堂大医学部が学費を900万円も値下げした。これにより、サラリーマン家庭出身者でも進学できるようになったこともあり、医学部の受験者数は急増、合格難易度が高まった。入試偏差値も上昇した同大はブランド的価値が強化されたが、女子医大の場合は、まったくその逆パターンを行くリスクが高い。

もし、女子医大で次の事件やスキャンダルが出てさらなる経営悪化をきたせば、身売り同然で、早大に吸収合併され、「早大医学部」が誕生する可能性も否定できない。

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