メダルも可能、日本の男子110mハードルは「世界に近い種目」

今年10月の日本選手権は金井が再び、王者に返り咲いた。昨年は準決勝で不正出発(フライング)のため失格したが、今年は2年前の優勝記録(当時の日本記録)に並ぶ13秒36(向かい風0.1m/秒)で完勝した。

競技場に並ぶハードル
写真=iStock.com/technotr
※写真はイメージです

「2年前は調子が合って、120%の力が出た限界の走りでした。でも今回はこれ以上いけるという感覚があるなかで出したタイムなので、2年前とはまったく違う13秒36だと思います」

男子110mハードルは金井が14年ぶりに日本記録を塗り替えたのが突破口となり、好タイムが連発している。昨年は日本選手権で高山峻野(ゼンリン)と泉谷駿介(順大)が13秒36の日本タイ記録(当時)をマークすると、高山が日本記録を13秒25まで短縮。昨秋のドーハ世界選手権では高山が決勝進出にあと一歩に迫るなど日本のレベルは急騰しているのだ。

その一方で、世界のレベルは停滞気味だ。1981年にレナルド・ニアマイア(米国)が初めて13秒の壁を突破する12秒93をマーク。以来、40年近い月日が経とうとしているが、世界記録は2012年にアリエス・メリット(米国)が樹立した12秒80と0秒13秒しか更新されていない。

ハードルという競技はスプリント(スピード)が上がると、ストライドが伸びるためにハードル間が詰まってしまう。ハードル間は決まっているので、足を置く位置を変えることは難しい。そのため記録的には限界にきている種目だといわれている。逆を言えば、体格やスピードで劣る日本人でも戦える可能性が十分にあるのだ。

歯学部受験を見据えて、五輪へ向けた練習の合間に受験勉強も

金井は今季13秒27(日本歴代2位)まで自己ベストを伸ばしている。来季はもっと記録を短縮することができるだろう。ただ、だからといって、その後も競技を続けていくことは考えていない。

「自分が他の職業に就くことを想像してみても、会社員は向いてないし、歯科医師が一番合っているなと直感的に感じました。今は陸上をやっていますけど、東京五輪で区切りをつけて、そちらの道に進みたい。だから、僕には時間がないですし、それがモチベーションにもなっています」

目標を立てるだけでなく、リミット(期限)を設けることで作業はより効率化していく。そのうえで、金井は背伸びすることなく、一歩一歩を大切にしてきた。

「大きい目標を立ててそこに向かうのではなく、小さい目標を一つひとつクリアしていくことに重点を置いています。その積み重ねが、東京五輪のファイナルという舞台につながるんじゃないかと思っているんです」

金井はハードラーとしての最終目標を東京五輪に設定。その後は歯学部のある大学に入り直す予定だ。そのため練習の合間に受験勉強もしている。

アスリートだからといって、スポーツだけをやっていればいいという時代ではない。セカンドキャリアを考えながら、スポーツの道を極めていく。金井のような人生設計がアスリートの常識になっていくのかもしれない。

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