ポーカーフェイスは武器になる
もちろん、明るく、快活に振る舞うほうが自分の性格にもピッタリ合うというのであれば、「笑顔を武器」として、その笑顔に磨きをかけていくとよいでしょう。
けれども、どうにも笑顔を見せるのがうまくできないというのであれば、いっそのこと笑顔のほうは諦めて、クールで、落ち着いたポーカーフェイスを崩さない、という方向のトレーニングをしたほうがよいかもしれません。普段まったく笑わない人が、三年に一度くらいにこりと笑うのも、そのギャップによって周囲からの評価はさらに高まるはずです。
もともと愛想の良い女性の上司からすれば、愛想のない男性に腹が立つこともあるかもしれませんが、あまり愛想を求めなくともよいのです。
笑顔を見せないほうが、頭もよく見える
私たちは、笑顔の力を過大評価しすぎています。
たしかに、「笑う門には福来る」という言葉があるように、いつでもニコニコしていたほうが、幸せに生きていけるのかもしれません。しかし、笑顔を見せられない人は絶対にダメなのかというと、そんなこともないのです。
笑顔を見せている人は、より幸せそうに見えますし、より魅力的に見えますし、より親しみやすい、と思われることは事実です。しかし、ここには文化差もあることがわかっています。
ポーランド・サイエンス・アカデミーのキューバ・クリスは、44の文化の約4500名に、笑顔の写真を4枚、無表情の写真を4枚見せて、それぞれの印象を尋ねるという研究をしました。
その結果、44のうち18の文化では、「知性」に関して言うと、「笑顔のほうが知的に見える」という答えが多かったのですが、日本、インド、韓国、イラン、ロシア、フランスでは、まったく逆に、笑っていると、「知的でない」とされることがわかったのです。
クリスの論文のタイトルは、「笑顔を見せるときには、どの国で見せるのかに気をつけて」というものですが、こと日本に関しては、笑顔を見せていると、「おバカさん」に見えてしまう可能性が高いということを覚えておくといいでしょう。世界中のあらゆる国で、笑顔がよい印象を与えるというわけでもないのです。