「同意から強制への変更」と考えると分かりやすい

10月21日付の毎日新聞の社説は「受信料の義務化提案 国民の理解得られるのか」との見出しを掲げ、こう主張する。

「NHKと国民との関係を『同意』から『強制』へと根底から変えることになる。義務化には慎重であるべきだ」

なるほど、「同意から強制への変更」と考えると分かりやすい。

毎日社説は指摘する。

「現在、放送法が義務づけているのは、テレビなどの受信機器を設置した世帯や事業者に対する受信契約の締結だけだ。支払い義務はNHKの規約に定められているにすぎない」
「提案は放送法に支払い義務を明記して、受信料徴収に強制力を持たせる狙いがある。不法に支払いを免れた者へのペナルティーの法制化検討も要請している」

支払義務を放送法に組み込んで、しかも制裁まで法制化する。3年前の最高裁判断が大きなよりどころなのだろうが、最高裁はNHKにくぎを刺していたことを忘れないでほしい。

強制的な届け出制度で、プライバシーがなくなる

毎日社説は指摘する。

「さらに問題なのは、NHKがテレビを設置しているかどうかの届け出を国民に義務づける案を提示したことだ」
「電力やガス会社など公益事業者や自治体への個人情報の照会を可能にする法改正も求めた。受信契約を結んでいない世帯の居住者氏名や転居先を把握するためだ」

このままだと、個人番号カードや健康保険証、運転免許証からの照会も行われるだろう。

さらに毎日社説はこう指摘する。

「支払い義務化は、これまで再三にわたって議論されてきた。2007年には、当時の菅義偉総務相が、2割程度の受信料値下げとセットにして求めたことがある」
「今回の提案は、菅首相の就任1カ月のタイミングで浮上した」