併願校選びに失敗すると「合格ゼロ」という事態も

さらに効率的な勉強をするために、「今年は第2志望以下の併願校選びが最重要です」と語るのは、スタジオキャンパスの算数講師、内田実人氏だ。「併願校選びに失敗すると、合格が一つも取れないという事態になりかねない」と警鐘を鳴らす。

「例年であれば、夏までに全単元の学習を総復習し、9月以降に第1志望、10月頃から第2志望、第3志望を決めていきます」。しかし、今年は多くの家庭で、学力の仕上がりが1カ月以上遅れているのが現状だそうだ。

「どの家庭も、まだまだやり直したい単元が多いのではないでしょうか。ただ、やり残した単元に気を取られてしまうと、過去問対策の時間が不足してしまいます」

時間不足のあおりをもっとも受けそうなのが、第2志望以下の併願校対策の時間だという。

「併願校対策を後回しにした結果、偏差値的には十分狙える学校なのに不合格ということは十分ありえます。特に今年は出願傾向も見えづらく、倍率や難易度も変動する可能性があるため、第2志望校不合格の危険性はかなり高いと言えます。また、毎年定番の併願パターンや模試による合否の読みも、今年は役に立たない可能性があります」

偏差値ではなく出題傾向で選ぼう

確実に合格を手に入れるために内田氏は二つのことを推奨する。

「一つは第1志望校に似た出題傾向の学校を第2、第3志望に据えることです。これによって、志望校対策を最大限効率化できます。偏差値ではなく、問題の傾向が似ているかどうかで選びましょう」

もう一つは、スタンダードな問題が多い学校を選ぶことだ。

「青山学院、明大付属中野、立教池袋などの大学付属校や吉祥女子、栄東といった学校は、出題内容が一般的な塾の模試や通常授業で扱う問題と似ています。つまり、塾での演習がそのまま志望校対策につながるのです。志望校対策の時間が節約できるため、その分、第1志望校の対策に時間を充てやすくなります」

もし、第1志望校、第2志望校ともに独自性が高く、出題傾向の異なる学校を受験する場合には、注意が必要だ。

「開成と渋幕、桜蔭と渋渋など上位校受験者に多いのがこのパターンです。出題傾向に特徴のある学校を複数受験する場合、学校ごとに対策が必要になります。正直、今年は避けたほうがいいでしょう。個々の学校への対策が不十分だと、共倒れになってしまう危険性が高いからです。どうしてもという場合は、出題傾向に癖のない第3志望校を早めに探して、確実に合格を取れるようにしておきましょう」

算数の出題傾向で志望校を選ぼう!
算数の出題傾向(『プレジデントFamily秋号』より一部抜粋)。スタンダードな問題を出す学校は付属校に多い。