人間の生活に不可欠な企業の「オーナー」になる

株式投資を単なる株券の売買だと考えている大半の日本人にとっては理解しがたいかもしれませんが、どんなに少ない金額、株数しか持っていなかったとしても、株主であるあなたは法的・経済的に、まぎれもなくアマゾン社のオーナーの一人なのです。本当に素晴らしい企業、人間の生活にとって不可欠な企業を見つけてしまえば、その会社のオーナーになれば良いのです。

貯金箱
写真=iStock.com/erdikocak
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コロナウイルスで人間の生活そのものが変わることはありません。「コロナが流行したから、ミッキーマウスが嫌いになった」とか、「運動する時に靴を履くのを止める」という人を私は今まで見たことがありません。

もちろん中短期的には業績に影響がでて、株価も下落するかもしれません。しかし長期的にはウォルト・ディズニー社やナイキ社がコロナ後も隆々としている姿を想像するのはそれほど難しいことではないと思います。

「そうはいっても、テレワークが普及するとか、移動が制限されるとか、コロナで変わることだってあるよね」という反論が聞こえてきそうです。でも、著書『教養としての投資』でも述べた通り、コロナ後に起こっている多くの出来事は、もともと社会の底流にあったもので、それがコロナを契機に加速していると考えるべきで、「何かが変わった」わけではありません。

例えば非効率な働き方の是正は、コロナがあろうとなかろうと早晩進めなければならない課題であって、それが顕在化したにすぎないのです。

長期保有だからこそ重要な企業選び

「オーナー」として会社を長期保有する投資を実践するにあたって、なによりも重要なことは、「どうやって、人間にとって不可欠な会社を選ぶのか」ということであることは明らかです。ダメな会社のオーナーになってしまうことは、ますます不確実性を増している世界経済という大海原の中で、笹舟に乗ってしまうようなものです。

企業選択を見誤ると毎日、毎晩、株価動向をみながら一喜一憂することになるでしょう。もちろん、中短期の売り買いを楽しむことを目的に投資を始めたのであれば、そのような賭け事に一喜一憂することは目的に合ったものだと言えます。

しかし、長期的な資産形成を目的に投資を始めたのであれば、枕を高くして眠れないという状況は、みなさんの本業である、ビジネスのパフォーマンスやプライベートの充実を阻害することになり、百害あって一利なしです。まさによくありがちな精神的に豊かになれない投資手法です。