「若者のバーキン」として大人気に

TとCのアルファベットを組み合わせた大きなロゴが印象的なトートバッグは、ブルックリン在住の若いリベリア系アメリカ人デザイナー、クレメンス・テルファーによる代表作だ。あまりの人気で完売状態が続いており、入手困難なことから「若者のバーキン」とまで言われている。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ORANGE Exclusively on @ssense

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環境に配慮する今時の若者のブランドらしくヴィーガンレザー製で、100万円をゆうに超えるエルメスのバーキンとは違い、2万円程度という誰でも手に入る価格帯を目指している。まさにダイバーシティ溢れる世代による、同世代のためのファッションブランドなのである。

AOCはニューヨークでもマイノリティと貧困層が多く住むエリアからの選出で、自身もプエルトリコ系のヒスパニックだ。

人種的にも価値観も多様化し、広がる格差の中でアメリカ史上最も貧しい世代とされるミレニアル世代だが、将来の環境・貧困対策の旗手であるAOC自身がまさにそのミレニアル世代を代表する1人として、身に着けるものとしてこれほどのベストチョイスはないだろう。

一方、カマラの方は、コンバースと並んでもう1つのトレードマークとしている、ティンバーランドのアンクルブーツが注目だ。このティンバーランドは、90年代のヒップホップスターたち、Jay-Zやノトーリアス・B.I.Gが履いて爆発的な人気を呼んだブランドで、今の90年代ファッションブームで再び注目されている。こちらも史上初の黒人副大統領を目指すピープル・オブ・カラーの代表、カマラにふさわしい選択だ。

彼らは民主党の新しい顔として、政策だけでなく価値観やライフスタイルを通して語りかけ、党の好感度も高めている。

政治と社会に不信感をもつ世代

②ブランド側の事情

ブランド側がますます政治的なキャンペーンを打ち出す理由も、消費者であるミレニアル&Z世代だ。

例えばファッションに限らずZ世代の過半数、ミレニアル世代も約半分が、少し高くても環境に優しいブランドから買いたいと望んでおり、年長世代とは大きな差をつけている。

環境保護に貢献しているか、そして最近ではBLM(ブラック・ライブス・マター)運動に同調しているかが、ブランド好感度に大きな影響を与えているのだ。

ネットで環境に優しいブランドをチェックしたり、黒人が所有するブランドを調べてわざわざそこから買ったりする人も増えている。