「女子」の謎

ニュースリリースによると、10月16日に「#ワークマン女子」店が横浜桜木町駅前のコレットマーレにオープン。当初は1店舗のみのコンセプトストアと位置付けていたが、前評判が非常に高く、今後は作業服、作業用品を扱わない一般客向けだけの店舗の名称を「#ワークマン女子」に統一し、10年間で400店舗を目指して全国へ新規出店していくという。

ブランド名の前にハッシュタグを付けることでSNSでの拡散を図ったり、メディア向けの内覧日を設けたりするなど、アピールにも抜かりない。

さっそく多くのメディアに取り上げられ話題性も十分なのだが、元ブルーカラーでワークマン愛用者だった身として単刀直入に言うと、今回の「#ワークマン女子」には共感が持てない。

その要因は、大きく分けて2つある。1つは、アパレルブランド名に付けた「#女子」の違和感だ。

オールジェンダートイレが増加したり、女子大がトランスジェンダー学生を受け入れたりするなど、世間ではジェンダーレス、ジェンダーフリー化が急速に広まっている。最近ではJALが「Ladies and Gentlemen」の呼びかけを「Everyone」に移行した。

女性4割、ユニセックス2割、男性4割

そんな時流の中で、アパレルブランドの名前にわざわざ「女子」を付けるのには、やはりそれなりの意味や「こだわり」があるのではと思うところだ。

が、「#ワークマン女子」では、女性向け商品だけでなく男性向け商品も取り扱うとのこと。最終的に女性4割、ユニセックス2割、男性4割にするという。

こうした「名と内容のズレ」も気になるところだが、さらに謎なのは、「男性客向け製品も扱っていることが認知されるまではチラシ媒体などには『#ワークマン女子with男子」の店名も使う予定』という点だ。

こうしたネーミングの迷走には、Twitterでも

「男性が超入りにくいのでワークマンライフウエアとかにしたほうが……」
「令和に…? わざわざ……? 女子、男子……?」
「ワーク“マン”→女子→男子。二重否定みたいに感じる」

といった声があがる。

ワークマンが群馬県伊勢崎市に「職人の店 ワークマン」1号店をオープンさせたのは、1980年。その頃の日本の世相やジェンダー観を考慮すれば、「ワーク“マン”」も「固有名詞だ」と理解できる余地はあるのかもしれない。が、今回の「#ワークマン女子」の店舗展開によって、「ジェンダー観の甘さ」が強調されたことは否定できない。