「ワークマン」という源流からの「ブレ」

また、この「#ワークマン女子」では、先述通り男性用の商品も取り扱うとのことなのだが、逆に「源流」であるはずの「作業服」は置かないという。そこにもう1つの違和感がある。

創業当初からブランド名の通り「働く人」向けに展開してきた「ワークマン」だったが、先述通り「高品質な作業服」を開発していく中で培った技術を活用し、「キャンプウエア」や「カジュアル(スポーツ)ウエア」などを次々に商品化。一般客の需要を取り込み、昨今急成長してきた。

その反面、こうした変化に違和感を抱く常連客も少なくない。

ニュースリリースによると、<作業服を扱っている従来店からの転換はできないので、「#ワークマン女子」は全て新規出店になる>とのこと。

つまり、従来店から転換できず、作業服の販売もせず「マン」ですらもない。それであれば「#ワークマン女子」は、もはや「ワークマン」の名前から切り離したブランド展開をすべきではないのだろうか。

作業服を売っていない店舗に「働く人」のイメージを維持させつつ、わざわざそこにジェンダーの意味付けをする店舗展開から感じるのは、CMでうたう「声のするほうに進化する」ではなく、「流行に引っ張られている」という印象なのだ。

さらに同社の公式サイトでは、来る「ハロウィン」のコスプレ衣装用の作業服やナースの白衣までをも提供しており、こうした源流をないがしろにした変化や「プロと遊びの混同」は、創業当時から「ワークマン=我々の味方」と信じてきた現場作業員からの信頼を見失う危険性もある。

現場と机上で起きている「ズレ」

ワークマンのジェンダー観がいまいち定まっていないのは、CMと「#ワークマン女子」の店舗を見ても分かる。

いま放映中のワークマンのテレビCMでは、女性に「女子だからピンク⁉ 絶対イヤ」と発言させていたのに対し、今回の「#ワークマン女子」の店舗前にはピンク一色のブランコが設置されている。ちなみに、CMの「女子だからピンク⁉ 絶対イヤ」のテロップもピンク色だ。

実はワークマンに限らず、ブルーカラーの世界には、“上”のホワイトカラーが進める商品開発や問題対策が、現場作業員の要望や問題意識、さらにはその時代の流れと大きくかけ離れていることがよくある。

男性社会だからか、ジェンダー観に関してはとりわけその傾向が強い。