嫌われる大企業出身者「転職で辛酸なめる人」の5つの共通点

では、大企業出身者が専門性と人柄において転職に失敗する共通点とは何か。以下の5つだ。

①今までの仕事の“棚卸し”ができていない
②専門スキルの領域が狭い
③プライドが高く、謙虚さに欠ける
④前職の会社とつい比較してしまう
⑤過去の地位や人脈にこだわる

上記の①②が「転職の入り口」で失敗するパターンだ。

①については、専門性はあっても本当に自分が得意とするものは何かについて深掘りできていないために、求人企業に「ぜひ、当社に欲しい」という説得力に欠けるからだ。

転職サイトの編集長はこう指摘する。

「大企業出身者であれば一定の専門性と何らかのマネジメント経験があるが、単に課長や部長をやっていましたという程度の説明しかできない人が多い。どういうメンバーに対してどのようなマネジメントをしていたのかという方法やマネジメントに対する自分の考え方、哲学を説明できないと説得力を持たない。さらに専門性を説明するために、どんな仕事の経験をしてきたのか、棚卸しをして、何が得意なのかを整理しておくことが必要だが、十分にできていない人が多い」

たとえば高学歴かつ大企業で部長を経験した人だからということだけでは中小企業は採用しない。逆に一流大学卒で大企業に長くいた人は「うちには合わないし、すぐ辞めるだろう」と警戒する中小企業も少なくないと聞く。

中年のビジネスマン
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慶大卒、大手通信機器メーカー元役員57歳も人生転落の危機に瀕した

実際にそういう人を何人も取材してきた。

たとえば慶應義塾大学理工学部を卒業し、大手通信機器メーカーに入社、本社の部長職を経てグループ企業の役員になり、57歳で退職した男性がいた。

自分で再就職先を探し始めたが一向に決まらず、半年後にようやく7社目で中小企業に就職が決まった。彼がこう述懐していたのを思い出す。

「大学は理系なので、まともな就活もしないで学校推薦で会社に入り、何十年も同じ会社で働いてきた。再就職にあたっても当初は履歴書や経歴書もたいしたことは書けないし、面接を受けても次々に落とされる。5~6社落とされたらさすがに落ち込んだ。平日は家にいるが、行くところもなく、下手をしたら自分はこのまま働けないのではないかと思った。働く気力、体力はあるし、仕事ができる自信はあったが働く場がない。このときのむなしさは現役の人には絶対にわからないだろう」