誰もが「特別感」を得られる時代に
ソウルのロッテワールドタワーの123階には、プレミアムラウンジバー「123ラウンジ」がある。ソウルで最も高い場所にある空間で、プロポーズの名所としても有名だ。123ラウンジで販売している「ザ・スカイ・ロマンチック・プロポーズ・パッケージ」は一日4組まで受付可能で、パッケージの種類により1回当たり金額は30万ウォン、60万ウォンとなっている。
高額ではあるが、コロナによる打撃もなく予約は堅調で、むしろ増加傾向にあるという。2020年2月の予約は前年同期比280%と増加した。誰でも手軽に利用できる金額ではないが、だからこそ特別なプロポーズをしようという人に好まれている。内輪を作る最も簡単な方法が「プライベート&プレミアム」なのだ。
前述の事例は消費における内輪の事例だ。コロナ禍でも彼らの消費は健在だった。こうした消費をする人々は、消費の面だけでこうした行動をとるのだろうか? 人との付き合い方や社会的関係、共同体でも同じ態度をとると考えるのが妥当ではなかろうか? 「普通」から抜け出したい人は、ますます増えていく。セレブや知識人、芸術家だけが自分の個性と志向を表現し、ユニークな存在として扱われたいのではない。個性の時代になり、より多くの人が普通ではない特別な自分としての評価と、そうした空間・サービスを享受して、そういう人たちと交わりたいと願っている。