微熱から子どものガンが見つかることもあるが…

小児科医は、健診の場でだけではなく、日常よく見られるありふれた疾患や育児に関するさまざまな問題(おむつかぶれ、トイレトレーニング、アトピー性疾患)の相談を受けますが、相談の場で親が気づかない子どもの疾患や発達の障害に気がつくこともよくあります。ミルクの飲みが悪いことから重い疾患が見つかったり、微熱から子どものガンが見つかったりすることもあるのです。小児科受診の手控えは、こうした小児科医の目を通した子どもの発達の保障の機会を逃すことになります。

予防接種の減少や遅れ同様に、こうした機会を逃すことは、近い将来子どもの健康と発達の障害が増えることにつながる可能性があるのです。

冒頭で述べたように、子どももCOVID-19にかかりますが、その頻度は大人よりずっと低く、またかかっても大部分は軽症ないしは無症状であるという事実をしっかり踏まえて、予防接種や健診などの子どもの命と発達を保障するチャンスを逃さないようにしたいものです。

安心して小児科医を受診しよう

親の不安は、小児科診療所でCOVID-19がうつってしまうのではないか、ということです。でもその可能性は低いのです。

榊原洋一『子どもの発達障害 誤診の危機』(ポプラ社)
榊原洋一『子どもの発達障害 誤診の危機』(ポプラ社)

まず、子どものCOVID-19感染者は少ないので、小児科の診療所でCOVID-19にかかっている子どもから感染する可能性はほとんどないでしょう。また大人の患者さんはいませんから、感染の可能性はさらに低くなります。

また、どの医療機関もCOVID-19に対する感染防止の対策を厳重に行っています。発熱やせきなどの症状がある子どもの診察室と、予防接種や健診を行う部屋や、入り口を分けている診療所もあります。予防接種や検診の曜日や時間帯を別に設けている診療所もあります。まず近所の小児科診療所に電話をして、予防接種や健診の希望を伝えてください。適切な指示が得られるはずです。

予防接種や健診は直接お子さんが受診しなくてはなりませんが、他の理由で受診する場合でかかりつけでお子さんの病歴(カルテ)がある場合には、オンライン診療で相談というオプションが使えることもあります。

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