コロナ禍での客足はどうなのか。

「春の外出自粛期は大変でしたが、今はかなり戻っています。特に定年後世代には『モーニングは毎日の習慣』で、自分は行きたくても子ども世代に止められた、とも聞きました」

実は同協議会の運営は一宮商工会議所で、担当部署は企画事業部。筆者は2012年に当時の豊島半七・協議会会長(現在は商工会議所会頭。繊維商社大手の「豊島」社長)に取材したこともある。つまり地元の経済団体が主導する活動なのだ。

今回は商工会議所・企画事業部の坂川和繁さんの案内で、人気店に連れて行ってもらった。

料理の先生が作る本格モーニング

今回視察したのは「こむぎ君のキッチン」――。私鉄の最寄り駅から徒歩3分、JR尾張一宮駅からも徒歩10分程度の住宅街にある。「コロナ禍で客数の戻りは道半ば」と聞くが、9時から15時までの6時間営業で「1日平均30人、多い日には約50人」と客席が2回転する。

人気店「こむぎ君のキッチン」の外観
写真=筆者撮影
人気店「こむぎ君のキッチン」の外観

開業したのは2015年11月19日で、間もなく5周年だ。女性店主の伊藤綾歌さんが切り盛りし、料理教室の講師も兼ねる。お料理の先生が、なぜ喫茶店を開いたのか。

「もともと市内の別の店舗で、日替わりで店の運営を担当し飲食を提供する『ワンデー(1day)シェフ』をしていました。その店が閉店となってしまい、『自分の店を持ってシェフを続けたい』思いから、物件を探してこの場所で開業したのです」(伊藤さん)

その腕前を生かした料理を手がける。店は昨年、日本食品衛生協会から表彰も受けた。

朝・昼・夜を喫茶店で過ごす愛用者も

「モーニングは国産の『ゆめちから』という小麦粉で焼き上げた食パンなどが付くもの(ドリンク代のみ)、シフォンケーキやスコーンが付くもの(ドリンク代+100円)、大人気のプリンセスモーニング(同+300円)もあります。地元の野菜や国産食材にこだわり、ランチはソースやドレッシングも手作りし、日替わりで提供します」(同)

他の地域とは生活文化が違い、一宮市のような喫茶店が盛んな地域は、朝食、昼食、夕食の3食すべてを喫茶店で楽しむ愛用者もいる。愛知県は豪華モーニングと並んで喫茶店ランチも人気だ。一般には、800円前後でトンカツやハンバーグなどがメインの幕の内弁当(ごはん大盛り無料)+ドリンク付きという店が多い。