「ゆる思考」なら、不確実性に対応できる

この「既存ルールを遵守すること」を放棄して、「新しいルールをつくること」にフォーカスすることを、ぼくは「ゆる思考」と呼んでいます。

この世に【絶対】はない、目の前のルールは【不完全】であるという目線をもち、社会に自分を合わせるのではなく、社会を自分に合わせる考え方です。クリティカルシンキングとクリエーティブ思考が合わさったような、考え方とも言えます。それは、体育脳の対極にある思考法です。

そしてぼくは気づきました。「あれ、この『ゆる思考』を手に入れてから、働くのが楽になったな……」。なぜなら、ゆるとは「柔軟に、目の前の社会をゆるめていく、変えていく」姿勢だからです。固定観念で脳をガチガチにするのではなく、世界は変えられるかもしれないと、脳をゆるめておく。これは「アジャイル(Agile※)」であり「弾力性の高い」状態です。

澤田智洋『ガチガチの世界をゆるめる』(百万年書房)
澤田智洋『ガチガチの世界をゆるめる』(百万年書房)

体育の話なので、身体に寄せて考えてみます。運動前には、柔軟体操などで身体をほぐしますよね? それは、けがをするリスクを減らすためのものです。ところが「体育脳」とは、脳がストレッチできていない状態です。だからこそ不規則で不確実な状況では、対応しきれず、脳が機能しなくなります。

他方で「ゆる思考」とは、常に脳をストレッチしている状態です。だからこそ、しなやかに時代の変化に対応できます。言うならば、「けがをしづらい」コンディションなのです。

では、どうやって「ゆる思考」を手に入れればいいか? おすすめなのは、まずはスポーツをつくることです。体育を、スポーツを、自分の手でゆるめることにより、新しい地平が開けます。そして、たちまち目が覚めます。「どうして今まで、自分は体育脳だったんだろう」。

※直訳すると「素早い」「機敏な」という意味の英語。近年、用いられるソフトウエア開発の手法に「アジャイル開発」がある。これは、優先度の高い機能をつくったらリリースし、顧客の反応などを見ながら、不具合を修正したり、追加機能を実装していく開発手法。

ゆるスポーツオフィシャルPV

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