理由6 とにかく一呼吸おいて時間稼ぎが有効

この会社はもう見込みがない、と見切りをつけるにしても、そうすぐに再就職先は決まらないだろう。厚労省の調べではリストラされた人が1年以内に再就職できたのは約4割だ。次の就職先を決めるための準備、貯金などの生活設計の見直し、人脈作り、資格の取得、キャリアの充実とやることは山ほどある。「ため」をできるだけ多く作っておけば、飛ぶときに高く飛べる。決めたら急ぐことはない。

理由7 残り者に福来たる

歯科材料メーカー営業主任の山室健太さん(仮名。33歳)は、「あのとき辞めずにいて良かった」と大声で叫びたい気分だと語る。1年前、製品クレーム対応を誤った会社は従業員3割減の大リストラに着手。山室さんも何回も部長から肩たたきを受けた。ところが直属の課長が家業を継ぐために退職、危うくセーフとなったのだ。山室氏は退職する課長から、懇切丁寧にクライアントの引き継ぎを受け、長年培った営業の心構え、テクニックを教わった。そのせいもあるのか半減した営業部員の中でトップセールスにのし上がったのだ。

砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)
砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)

リストラで残った者には地獄が待っている。給料カット、ボーナスも出ない、おまけに残業も認められない。それなのに人が減って仕事の量が異常に増え、赤字の会社は仕事の成果のハードルを高くしてくる。やってられないとまた人が辞めていく。会社全体が悪循環に陥って……と、よく聞かれる話だ。しかしこのピンチは逆にチャンスなのだ。人が減って仕事が増えることはポストが空いて昇格するチャンスなのだ。給料がカットされても、再就職先での給料と比較すればずっと上かもしれない。そのうち会社再建がなされれば、カットされた給料以上になるだろう。社員が減った分、潤い方が多くなるに違いない。

去るも地獄残るも地獄なら、天国になる可能性が高い地獄を選択したい。嵐はいつまでも続かない、辛抱すればそのうち止むのだ。

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