理由4 再就職が難航する、長期化する

リストラされた人を見る世間の目は厳しい。仕事ができないから、努力して頑張らないから、本人のせいでリストラされたとまったく見当はずれの見方が多い。求人に応募しても、中高年者や長年勤めた会社を辞めた場合はまずリストラを疑われる。面接で根掘り葉掘り聞かれ、そのうえ敬遠されることが実に多い。リストラ時に再就職支援サービスが提供されても、当てにできないと感じる人も多いのだ。

会社面接でいくら説明しても、「ああ、あの会社でリストラされた人ね」と決めつけられ、能力や意欲に疑問符をつけられる。そのため厳しき門になり、採用されても処遇が一段低くされることがある。リストラの烙印を押され色眼鏡で見られてしまうのだ。

求人企業と求職者の間に立って就職のお世話をする人材紹介会社は、就職が決まれば求人企業から紹介料を受領する。顧客企業からは「リストラされた求職者の場合、半分にしてほしい」とか、ひどい場合は「無料にしろ」、というケースもあるという。

労働力調査によると、完全失業者は214万人(2020年4~6月平均)中、失業期間が1年を超える人が55万人、前年同月比で4万人増えている。新型コロナで企業の業績が急激に悪化し、新卒の内定取り消しも出ている中、条件の悪い中高年のリストラ退職者は必然的に苦戦せざるをえないのが実情だ。「しばらくゆっくりして」という方もいるが、しばらくが一生になりかねないことに気付いてほしい。自分一人でも起業するだけの気概やバイタリティー、それに能力がなければ転職はしないほうがいい、という人もいる。

リストラのストレスで歩道に座っている
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理由5 リストラ、一度あることは二度三度ある

仕事上、リストラされた方を大勢見てきた。能力や意欲は人それぞれであるが、仕事の取り組み方・周囲の人との接し方・性格などこれほど似ているのかと思うくらいに似ていることが多い。何かリストラされやすい、会社から目をつけられやすい特徴を持っている可能性があるのでは、と思ってしまう。

今の世の中、大樹はない。この会社は危ないと思ってリストラに応じて再就職しても、その会社が長期安定している保証はない。ましてや一度リストラされた人は、そうでない人に比べて自分では気が付かないリストラされやすい何かがあるかもしれない。そういう意味では一度あることは二度あるとも言える。