新型コロナウイルスの影響で全国の「お土産品」が厳しい状況にある。そんな中、岩手県の「かもめの玉子」や山口県の「月でひろった卵」など、打開策を模索する例も出てきている。コロナ禍で立ち止まる企業と前に進む企業の違いはどこにあるのか。経営コンサルタントの竹内謙礼氏が取材した——。

「売り上げが昨対で10分の1になったお土産店もある」

Go To トラベルキャンペーンや自粛疲れの反動で、観光地には少しずつ観光客が戻り始めている。しかし、本格的な人出の回復はまだまだ先のようだ。

ホテルや旅館をはじめ、レジャー施設や交通機関の打撃は計り知れない。その中でも、特に厳しいのが全国各地の銘菓や特産品などの「お土産品」だ。観光客が動かなければ、お土産品も動かない。夏の帰省も控えられてしまったので、お土産品を取り扱う企業や店舗は大きな打撃を受けている。

「売り上げが昨対で10分の1になった店もザラにありますよ」

長野県内のお土産店に商品を卸す会社の社長は表情を曇らせる。

「3月に売り上げがピタリと止まった。おかげで4月の花見の観光客はほとんどゼロ。6月に若干戻ってきたけど、7月と8月で再び客足が鈍くなって、動きはさらに悪くなった」

コロナ禍で観光客が動かないだけではなく、消費意欲の減退もお土産品の売り上げに大きな影響を与えている。

お土産品に打開策はないのか。

銘菓や特産品を取り扱っている企業のホームページを調べてみたが、ほとんどがコロナ禍の自粛の文言が掲載されているだけで、特別な動きを見せているところはなかった。

複数の企業に問い合わせをしてみたものの、取材を断られたり、取材の申し込みメールの返信すらこなかったり、取り付く島もないような状況だった。

しかし、その中でも、必死になって頑張っている企業もあった。

「かもめの玉子」と一緒に名産品をネット販売

岩手県の銘菓「かもめの玉子」を製造販売する「さいとう製菓」では、コロナ禍になってからネット販売に力を注いだ。4月には自社の通販サイトで「コロナに負けるな送料無料キャンペーン」を実施。その情報が口コミで広まり、通常の3倍以上の注文を受けることになった。

ネット通販の販売力を生かして、8月中旬には「ふるさと さいとう便」を開始した。自社商品のかもめの玉子の他、大船渡市の名産品のお酢や缶詰を7種7個詰め合わせたセット商品を、地元に帰省できないお客様に向けて販売した。

「ふるさと さいとう便」
筆者撮影
「ふるさと さいとう便」

「自分たちの企業だけではなく、地域の他の企業を一緒になって盛り上げていきたい」

そう話すのは広報担当の佐藤徳政さん。大船渡の観光客を増やすことにつながればと思い、観光パンフレットをネット通販で配送する商品に同封することにした。すでに送ったパンフレットの数は500部を超える。

「民間企業でできることには限界があります。それでも、地元企業と一緒に地域を盛り上げていくことは続けていきたいです」(佐藤さん)。

さいとう製菓の直営店も厳しい状況が続いている。しかし、観光客、帰省客を除けば、地域のお客様が利用する路面店では、昨対に近い数字まで売り上げを盛り返してきているという。地元愛の強い企業は、やはり地元の人たちに愛されているようだ。