250cc4気筒エンジンで異例のスマッシュヒット
バイク業界は今、9月10日に発売されたカワサキの新型モデル『Ninja ZX-25R』(以下、『25R』)の話題で持ち切りだ。
専門誌はこぞって『25R』の特集記事を組み、市井のライダーたちもSNSなどを通じ、あれやこれやと熱く『25R』を語っている。
しかもただ人々の口の端に上っているのでなく、カワサキ広報によれば現時点での販売店からの発注だけで、今年度販売予定数の5000台をほぼ達成しているという。
5000という数字は、同社の日本国内セールスにおける柱のひとつとなり得る規模。『25R』が趣味性の高いフルカウルのスーパースポーツモデルであることを考えれば、異例のスマッシュヒットである。
こうした盛り上がりの理由は、『25R』が新開発の4気筒エンジンを搭載していることに尽きる。
なにしろ、現在は2気筒が主流になっている250ccクラスのバイクとしては2007年に生産終了となったホンダの『ホーネット』、カワサキの『バリオスⅡ』以来の4気筒モデルであり、新開発の4気筒エンジン搭載車となれば、1989年のカワサキ『ZXR250』登場時にまでさかのぼるのだから。
老舗バイク雑誌『ヤングマシン』は25Rの登場を数年前から独占スクープし、昨年6月発売の8月号で発売確定を断言した。それは同年10月の東京モーターショーでカワサキが正式に『25R』のリリースを発表する、4カ月前のことだった。
「ウェブ版に掲載した同じ記事のコメント欄には、『本当に出たら最高だ』『すごく楽しみ』などの声がほとんどでしたが、『出るわけないでしょ』『いい加減なガセ記事を……』といった意見も寄せられました。多数のライダーが大歓迎するものの、この時代での発売など非現実的な夢想だと受け取られても仕方がない。ほんの1年少し前、250cc4気筒エンジンのスーパースポーツバイクとは、そんな存在だったのです」(『ヤングマシン』編集長の松田大樹氏)