「官報はまさに宝の山」
「ひとつは独自のコネクションによるもので、これは企業秘密。ネット広告経由でも売却相談が一定数くるが、それと同じくらい重要なのが『アナログ的な買取営業』です。自主的に会社を廃業する場合には、まず官報に解散公告を出し、債権者は申し出るように呼び掛けなければならないと決められています。
また、毎年10月の官報では、12年以上登記のない株式会社が公告される。会社法では、株式会社の役員の任期は最長で10年なので、10年以内には役員の変更または再任の登記をしなければならないのですが、それすら行っていない法人に対して、『今から2カ月以内に連絡しないと解散したものとみなします』と宣告するものです。どちらの公告にも法人名が明記されているので、これをもとに法人の代表に連絡を取り、交渉を始めるのです。我々にとって官報はまさに宝の山なんです。
あとはシャッター通りになった商店街に行って、営業をやめた飲食店や商店の経営者を聞き込みで探すこともある」
さらに、ブローカー氏は「うちではない、同業者の話」と断りを入れたうえで、こんな手口も明かす。
「休眠法人は、前年度の売上もゼロのはずなので、持続化給付金の対象にはならない。ただ、買収後に休眠の解除と架空の売上を計上した修正申告を同時に行うことによって、持続化給付金の対象にしてしまうというやり方もある。こうした手口は、休眠状態だった法人を強引に目覚めさせるという意味で、『たたき起こし』と呼ばれています」
休眠中の法人でも修正申告を出せば持続化給付金を受給できることは、このブローカーを紹介した中内さんも話していた通りである。