「一時金か年金か」選択ミスで130万円も損をする

退職金の額はもちろんだが、知っておきたいのがその受け取り方だ。そして、「ここで対応を間違えると、大きな損になりかねないので注意が必要です」と助言するのは、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんである。

退職金の受け取り方には、「一時金のみ」「一時金+一部を年金」「すべて年金」の大きく3つのパターンがある。大手企業の場合であると選択できることが多い。問題は一時金と年金、一体どちらが得かという点である。

60歳定年時に退職金2000万円を受け取るとしよう。全額を一時金でもらう場合、手に入るのは2000万円。年金だと運用してくれるので、受取総額は運用益分だけ増える。「年金の運用率は企業によって異なりますが、現在は1~2%が主流です。ゼロ金利の時代だけに、退職者の多くは年金を選んでいます」と深田さん。

しかし、意外な落とし穴がある。税金と社会保険料だ。図を見てほしい。退職金を一時金で受け取る場合と、全額を年金受け取り(運用率2%)にした場合とを比較したものだ。いずれも定年後に再雇用制度などを利用して64歳まで働くことを前提に試算している。