部下の危機感を煽るデータの見せ方

テクニック1:単にグラフを並べるのではなく危機感を煽るデータ(差分)をつきつける

テレワーク環境によって、「部下の動きが悪くなった、部下にはもっと頑張って仕事をしてもらいたい」と感じている人が使いたい方法です。

私は、企業買収後に再建プランを検討する際に、従業員を奮い立たせるために用いていました。このテクニックのポイントは、単に事実を伝えるためにデータを並べるのではなく、危機感を感じてもらえるデータの見せ方を選ぶことにあります。

ここではあえて、実際の企業の決算数値を用いて解説します。

テクニック1では、餃子の王将を展開する王将フードサービスの決算データを材料として用い、エリア別1店舗当たり売上高をみてみます。通常であれば、単に各エリアごとの1店舗当たり売上高を棒グラフで並べます(図表1 右図)。

しかし、これを見せられた各エリアの担当者のうち、危機感を感じる担当者はあまりいないと思われます。どのエリアの店舗が健闘しているのか、また健闘していないのかがよくわかりません。みんな健闘しているようにも見え、この右図のグラフを見せられても、だれも危機感を感じることはできないでしょう。

一方、全国平均の1店舗当たり売上高の平均値を算出し、その平均値を上回っているのか下回っているのかを補足し差分を示す(図表1 左図)ことで、北海道・東北地方と、中国四国地方は1店舗当たりの売上高が、平均を下回っていることが一目でわかるようになり、これらの担当者に危機感を与えることができます。危機感を感じたら、奮い立って今よりも仕事をもっと頑張ってもらうことができるでしょう。

右図は各エリアごとの売上高を並べたグラフ、左図は平均値との差分を示したグラフ
画像=『秒速で人が動く時間活用術』
右図は各エリアごとの売上高を並べたグラフ、左図は平均値との差分を示したグラフ

ポイントは、単に数値データをきれいに表現するためにグラフを用いて説明をするのではないという点です。相手に何らかのアクションをしてもらうことを期待してデータを使って説明するのであれば“危機感を煽るために、データをグラフ化する”ということを意識し「基準値(ここでは平均値)を下回っているから動いてほしい」と伝えることが重要なのです。