「コロナ鬱」新患受診まで3カ月待ちのクリニック
「私の病院でもこの4月以降、『コロナ関連』の患者さんが多くご相談にいらっしゃっています。コロナ感染の長期化に加えて、7月以降は梅雨や暑さの中でのマスク生活という不快さも原因のようです」
こう語るのは、松崎病院 豊橋こころのケアセンター(愛知県)の精神科医・鹿目将至(かのめ・まさゆき)氏だ。筆者は、今年4月、鹿目氏のインタビューをもとに、プレジデントオンラインで「激増中『コロナ鬱』を避けるための5つの予防法 精神科患者の9割以上がコロナ案件」(4月5日配信)という記事を書いた。
この記事で「コロナ鬱」のリスクをできるだけ小さくできればと考えたが、残念ながら新型コロナウイルスの影響で失業状態に追い込まれたり収入が激減したりすることで、気持ちが落ち込み、精神科や心療内科に駆け込む患者は増えている。
例えば、鹿目氏の父親である鹿目裕文氏が院長を務める、どうまえクリニック(福島県郡山市)では、精神科を新規に受診したいという患者が殺到し、現在3カ月待ちの状態。コロナ前の新規患者は1カ月20人未満だったが、現在は毎月30人程度に増えており、3~5割増しの勢いだという。
顕著なのは、30歳までの若い世代(17歳以上)が以前より4割増加していることだ。その影響もあり、全患者のうち7割が17歳~青壮年(勤労世代)になるという。
患者のほとんどは、「市中に新型コロナウイルスが蔓延している」とか「自分も感染するのではないか」という不安を抱えている。
主訴のトップ3は、「コロナで職を失って(失いそうで)不安に」「コロナで生活環境が激変し体調を崩した」「ステイホームによって心が不安定になり、夜、眠れなくなった」である。
平穏な生活をおくれなくなっている人たちは、どうすればいいのか
こうしたコロナの影響が及んでいるのは外来患者だけではない。入院患者の場合、院内では常にマスク着用が必須のため、ゴムひもで耳裏が膿んでしまう、顔が腫れ上がる、感覚過敏のために気分が悪くなる、といった症状を訴える人もいる。
また、家族との面会の激減や、貴重な娯楽であるテレビからコロナ情報が繰り返し流されることから、これまで改善傾向にあった患者が不調になるケースが頻出している。
日々の生活を平穏におくれなくなっている人たちは、一体どうすればいいのだろうか。
前出・医師の鹿目氏は基本的な心構えとして、「生活リズムの維持や生活習慣の改善を考えてください」という。
「お心あたりがあれば、ぜひ診察を受けてください。処方された薬を飲むことも有効な対策のひとつです。それに加えて、生活リズムの維持や生活習慣の改善も考えてください。さまざまな“不安”も、生活の見直しでよくなることがあります」