しかし、顧客の視点で考えてみると、営業担当者にとって最も大切なのはスキルというよりも、「顧客を理解しようとする姿勢」ではないか。

そのような「仮説」を基に、トップセールスに対するヒアリングを行い、顧客に対する考え方や態度を詳しく聞くようにした。

「お客さまに対して心がけていることは何ですか?」

「顧客を知るために行っていることはありますか?」

「顧客との関係を強化するためには何が必要だと思いますか?」

このような質問をすると、おもしろい答えが次々に返ってきた。

「顧客の表情の変化から、何を考えているのかを予測して話します」

「常にお客さまの頭の中に何があるのかを理解しようとしています」

「なぜそう考えるようになったのか、過去にさかのぼってその歴史を聞くようにしています」

最終的に1000人のトップセールスにこうしたヒアリングを行い、私たちは一つの結論に達した。

「トップセールスに共通する成功要因は、顧客に『感情移入』する意識と能力である」

性格や生い立ちや営業手法が違っても、トップセールスは全員、感情移入という点で秀でている。感情移入できないトップセールスは存在しない。

営業センスとは感情移入する力であり、営業センスを身につけるには「感情移入する力」を身につける必要がある。これが「営業センスとは何か?」という問いに対する私たちの回答である。