本当に「秘密」にするほど価値がある情報か

もっと言えば、情報なんてどんどん公開するべきだ。情報を公開して、それで有名になれば、リアルな売上はさらに上がる。どうせ、レシピを公開しても、そのとおりの味には絶対ならない。むしろ、その味になるのであれば、シェフの価値がないはずだ。レシピを受け取った客は、新型コロナウイルスが収まったころに、本当の味を求めてやってくるに違いない。

次は単純な方程式だ。

情報公開によるデメリット<情報公開によるメリット

これは近年では特に正しい。よく考えてほしい。あなたが「秘密」と考えている情報は、そんなに価値があるだろうか。誰でもわかっている情報ではないだろうか。それを隠蔽しても、周りはありがたがってくれない。それならば、捨て身でもすべてを公開して、そのぶん集客したほうがいい。

私も個人的な経験から、変に情報を隠さないほうがいいと思っている。それよりも、情報を出すことによって集まってくれる方々が、のちにお客になってくれる。重要なのは情報価値ではないのだ。あなたの時間価値を最大化したほうがいい。情報はダタでも、それを見て集まった方々に、有料で時間を割いたほうがはるかに収益は上がる。極端に言えば、情報は出しまくったほうが良く、人数を集めたらこっちのものなのだ。

儲からなかったらすぐさま撤退する勇気

【2‐1】早めの撤退

飲食店は通常、FLコストといって、Food(材料費)、Labor(人件費)が大半の原価を占める。単価の半分は、FLコストだ。しかも、家賃や光熱費を加算していくと、結局は売上の5%くらいしか残らない。売上の10%が残れば上出来だろう。

さらに、オープンして数カ月は客足が途絶えなかったとしても、そこからは苦戦をする。次々に飲食店は開業しているのだ。ある特定の店に足繁く通うには相当な理由が必要だ。

だからこの先は、早めの撤退が重要だ。何をやって当たるかは神のみぞ知る。私たちにできるのは、事業に思い込みを持ち続けるのではなく、冷静な視点だ。やってみて、儲からなかったらすぐさま撤退する思考を持つべきだ。

コロナ禍でもそれなりに生き残っていた飲食業は、取り急ぎ、儲かっていない店舗を閉めた。繁盛店のみ、継続して営業を続けた。そして、バイトには休んでもらい、本社で時間のできた社員を現場に投入して稼働率を上げた。雇用助成金でなんとか嵐が過ぎるのを待ちながら、同時に家賃を減額交渉するなど、固定費の削減に努めた。