朝日社説は「言論弾圧に強い抗議を」と訴える
次に8月13日付の朝日新聞の社説を見てみよう。見出しが「香港と国安法 言論弾圧に強い抗議を」で、こう書き出す。
「中国が香港の自由を押しつぶそうとしている。報道を圧し、言論を封じ、批判を許さない取り締まりが強まっている。この露骨な弾圧を、国際社会は看過してはならない」
いまの香港問題は、国際社会の動き次第で大きく変わる。中国が欧米を中心とする国際社会の出方を気にしているからだ。
朝日社説は香港紙「蘋果日報」の黎智英氏の逮捕について指摘していく。
「香港のメディアは『一国二制度』によって自由な報道が認められてきた。だが、近年は中国からの圧力や中国資本の流入が増え、報道の独立性に陰りが見えるとの指摘も出ていた」
「そんななかで、他紙とは一線を画した中国批判を展開し、存在感を示してきたのがリンゴ日報だった。25年前に創刊した黎氏には、中国の民主化運動を支持し、香港の自由を守る信念があると言われている」
「それだけに黎氏の逮捕は、共産党政権が国安法による弾圧を本格化させる動きと受け止められている」
「リンゴ日報」とは「蘋果日報」のことである。多くの市民や民主派の人々の愛読紙だ。
朝日社説は「中国本土のメディアは、共産党の『喉舌』と呼ばれるほど、厳しい統制下にある。中国は、香港メディア全体を同じようにする思惑なのだろう」と書く。
メディアは自由と民主主義を守る砦である。香港のメディアを守ることは、国際社会を構成する世界各国の自由と民主主義を守ることにつながる。
中国のやり方は国際社会に対する挑戦だ
さらに朝日社説は指摘する。
「国安法をめぐっては、香港警察が米国在住の米国籍の人物を指名手配したことが波紋を広げている。国外であっても体制批判の言論を中国の法で封じようということなら、国際社会に対する挑戦であろう」
「訴追される恐れがある以上、どの国の在住者であれ、香港の人々との会話や通信に慎重になってしまうかもしれない」
「しかし、そのために香港の人々と各国市民との連携が損なわれることがあってはなるまい。むしろ、中国共産党による強権を認めない国際世論のボリュームを増していくべきだ」
この朝日社説が指摘するように、中国のやり方は国際社会に対する挑戦だ。いまこそ、国際社会の力を中国に見せつけるべきである。それができなければ、中国はますます図に乗るばかりだ。
日本も欧米と強調して中国政府に強く抗議すべきなのだ。