「これは『戦車なき天安門事件』の始まりである」

8月12日付の産経新聞の社説(主張)がおもしろい。次の書き出しがいい。

「これは『戦車なき天安門事件』の始まりである。中国は軍隊によらずとも香港国家安全維持法(国安法)を武器に自由を封殺し、民主派を根絶やしにするつもりだ」

見出しも「周庭氏逮捕 『戦車なき天安門事件』だ」である。

沙鴎一歩はこれまで「天安門事件の悲劇だけは避けたい」と主張してきたが、考えてみると、産経社説が指摘するようにいまの中国にとって国安法が戦車代わりなのである。

産経社説は続けて書く。

「香港の自由を求める欧米や日本に対しても明確な挑戦状を突き付けたに等しい。これを看過してはならない。日本の危機でもある」

賛成だ。このまま中国が共産党1党独裁を武器に乱暴な発展を続けていけば、前述したように香港と同じ問題は日本でも起きる。

安倍政権はアメリカの「旗幟鮮明」を見習うべき

産経社説は日本の対応についてこう指摘する。

「菅義偉官房長官は『重大な懸念を有している』と述べたが、従来の繰り返しにすぎない。中国依存の経済界に気兼ねしてモノが言えぬなら、それはおかしい。旗幟を鮮明にすべきだ」

旗幟きし鮮明」。つまり、対中国外交では日本の立場や主義主張を明らかにして交渉を進めていく必要がある。ましてや香港問題のような大きな国際事件ではなおさらである。

さらに産経社説は書く。

「米国は先に林鄭月娥行政長官を含む政府高官や中国共産党幹部ら11人を制裁対象に指定した。全体主義国家の強権ぶりを見過ごすのは加担するのと同じである。日本政府はそう肝に銘じ、具体的な制裁措置を実行に移してほしい」

産経社説が主張するように、安倍政権はアメリカの「旗幟鮮明」を見習うべきである。