ドイツの学校に校則がない理由

「ツーブロック禁止」の校則に関するニュースが流れたとき、とても日本的なニュースだなと思いました。日本の一部の高校がツーブロックを禁止する背景には、髪型を規制することで生徒がどんどん派手になりいわゆる「荒れた学校」になるのを防ぐ目的もあるといいます。でも「生徒が派手にならないように」「学校が荒れないように」と生徒の生活面での指導をしているところが日本的だなと思いました。

筆者はドイツで育ちましたが、ドイツの学校には「校則」そのものがありません。そのため筆者が通っていたギムナジウムでは膝のあたりがビリビリに破かれたジーンズをはいて登校をする同級生もいましたし、胸元が大きく開いたデザインの服を着てデコルテを見せている生徒もいました。パーマはもちろん、毛染めからピアスまで「何でもあり」でした。

特に荒れた学校ではなくむしろ逆でしたが、なぜこんなにも生徒の自由が重んじられているのかというと、ドイツでは「身だしなみや生活指導は家庭の役割」「学校の役割は勉強の面倒を見るところ」といういわば役割分担に関する「すみ分け」がはっきりしているからです。そのため仮に生徒が学校の外で問題を起こしたり、またはトラブルに巻き込まれたとしても、学校の責任が問われることはありません。

もしもドイツで子供に「ツーブロック」を禁止するとしたら、それはドイツでは「学校」ではなく「親」の領域です。ただし実際にはドイツでツーブロックを禁止する親の話は聞いたことはありません。

カップルの「相部屋禁止」が唯一の規則だった

ドイツの学校には日本でいう生活指導の時間はありません。生徒が放課後にどこを歩いていようと、週末に何をしようと、学校や先生はノータッチです。生徒の「性生活」に関しても基本的にはノータッチであるため、結果として生徒の恋愛にも寛容です。学校で堂々と恋愛をしているカップルがいるのはドイツでは珍しくありません。

筆者が通っていたギムナジウムでも17歳の頃、先生公認のカップルがいました。このカップルは授業中に隣同士の席に座っていましたし、もちろん休み時間もいつも一緒に過ごしていました。

クラスで修学旅行に行くことになった際、「修学旅行中に万一妊娠すると問題になるので、修学旅行中はカップルが同じ部屋に寝泊まりするのは禁止」という先生からのお達しがありました。それも頭ごなしにいうのではなく、カップルと先生がじっくり話し合ったうえでのルールでした。