男性は利用料がかかるが、女性は無料という「出会い喫茶」に、連日滞在している女性がいる。なぜそこに通うのか。週刊SPA!取材班が新宿・歌舞伎町の出会い喫茶で一日の大半を過ごす19歳の女性に密着した――。

※本稿は、吉川ばんび、週刊SPA!取材班『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

店の前に座り込みじっと開店時刻を待つ

本間愛華さん(仮名・19歳)女性
出身/神奈川県
最終学歴/高校中退
居住地/東京都新宿区
居住形態/主に歌舞伎町の出会い喫茶
年収/72万円
職業/無職
雇用形態/なし
婚姻状況/未婚

若さの価値を知る女たちは、貧しさから逃れるため、己を切り売りしようと盛り場に流れ着く。「歌舞伎町の出会い喫茶で暮らしている」とSNSに書き込む本間愛華さん(仮名・19歳)と出会ったのは、新宿・歌舞伎町の街角だった。

開店前の出会い喫茶入口に座り込み、ゴミ漁りするカラスを眺め1日がはじまる(撮影=週刊SPA!取材班)
開店前の出会い喫茶入口に座り込み、ゴミ漁りするカラスを眺め1日がはじまる(撮影=週刊SPA!取材班)

まだ化粧が似合わぬ幼い顔立ちに、根元が5cmほど黒くなった金髪。汗ばむ暑さのなか長袖姿といういでたちは、夜の歌舞伎町でひと際目を引いた。

「2カ月前に家出してきて、着替えがなくてずっとこの服装。でも、一日中出会い喫茶にいるから、このまま秋までいけそうじゃね? 午前中は出会い喫茶で時間を潰して、携帯を充電したり雑誌を読んだりしているよ」

傷む毛先を指に絡ませながら、無邪気な顔でそう言った彼女。出会い喫茶とは、客としてやってきた男性と、お小遣い稼ぎを目的に来た女性が個別交渉し、双方が合意すれば“連れ出し料”を店に支払い外出できるという業態だ。

愛華さんは店を「アタシんち」と呼ぶ。店の開店にはまだ1時間はあったが、「ほかにすることもないし」と、店の前に座り込んだ。うつむいたまま携帯を眺め、じっと開店時刻を待つ。額にうっすらと汗がにじんでいるが、気にする様子はない。店のスタッフが掃除道具を手に現れると、愛華さんとハイタッチをして挨拶を交わした。

「こいつ、めっちゃいいやつなの!」

愛華さんに笑顔が弾ける。スタッフとともに一番乗りで店内に入ると、お気に入りの椅子にどっかと座り、漫画を読み始めた。