「100の語源で1万語が身につく」
【三宅】なるほど、「語源図鑑」シリーズは、単純に単語の成り立ちを知ることが目的ではなく、さまざまな単語を効率よく覚える方法のひとつとして語源を知ることが非常に役立つということですね。また、イラストで覚えることで、それがさらに効率よくなるわけですね。
【清水】そういうことです。本の帯にも「100の語源で1万語が身につく」というキャッチコピーを載せました。
【三宅】実は、当校でも「語源による芋づる式暗記法」を採用していて、大人のTOEICクラスでは、接頭辞や接尾辞の「意味」を教えるようにしています。中学生に単語を説明する際にも、たとえば「re」から始まる単語があれば「return」「recycle」「replay」など、同じ接頭辞からはじまる言葉を挙げて、子どもたちに「re」という文字を見たり聞いたりしたときに「re」のイメージが浮かぶような授業をしているのです。
【清水】素晴らしい取り組みだと思います。
原点は、高校の授業用につくった妻と作った手製プリント
【三宅】清水先生は長年、高等学校で英語の先生をされながら、ベストセラーも含めて多くの本を書かれてきたわけですが、そもそも本を出版することになったきっかけはなんだったのですか?
【清水】最初に本を出したのはいまから28年前ですが、その本のベースは私が生徒のためにつくった教材だったのです。
【三宅】そうなのですか。
【清水】教員になって2校目の学校に移り、そこで初めて3年生の進学クラスを受け持つことになりました。そのとき、色んな生徒から「短期間で英語の偏差値をどうやって上げたらいいですか」という質問があったのです。
彼らに合う問題集や参考書を探してみたのですが、適当なものが見つからない。そこで私立大学の入試問題を徹底的に分析してみたら、熟語の問題がすごく多いことに気づいたのです。
たとえば当時の中央大学は熟語の出題率が4割近くもあり、しかもその熟語は基本動詞と前置詞、副詞を結びつけた句動詞(get up、carry onなど)が多い。だとすれば、少なくとも受験対策においては熟語を強化する勉強が一番効率的だと思って参考書や問題集を探してみたのですが、やはりなかったのです。
「これは自分で作るしかない」と思って、過去の入試問題の中から使えそうなものをかき集めて、それをプリントにして毎週生徒に配って、1週間ごとにテストをするようにしたのです。
【三宅】熱心な先生に恵まれて生徒さんも幸せですね。
【清水】感謝されたことは一度もありませんでしたがね(笑)。で、その際、単に英文だけのプリントではつまらないので、イラストをつけたら面白いんじゃないかと思ったのです。ただ、私は絵を描くのが苦手だったので、絵が得意な妻に頼んで熟語一つひとつにイラストをつけました。
【三宅】イラスト付き教材の原点はそこなのですね!