ベストセラーを生み出したフェイスブックの友達申請

イーオン社長の三宅義和氏
撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【清水】イラストの原案は、共著者のすずきひろしさんに担当していただきました。実はすずきさんも英語講師なんです。

【三宅】だからわかりやすいわけですね! すずきさんとは長いお付き合いなのですか?

【清水】いえ。5年くらい前にフェイスブックで突然すずきさんから友達申請が来たのです。いつもなら面識のない方からの申請は無視するのですが、プロフィールをみたら、大手外資系企業のエンジニアで、社内で英語を教えており、ものすごく面白いイラストを描かれる方だとわかり、迷わずつながらせてもらいました。

ちょうど当時、ある編集者さんから繰り返し執筆依頼を受けていた企画があり、すずきさんに追加原稿とイラストのお手伝いをお願いしたところ、快く引き受けていただけました。今回のシリーズを出すまでに、彼とは共著で2冊作っています。

【三宅】そういった運命的な出会いは、いつおこるかわからないから面白いですよね。

【清水】本当にそう思います。もしあのとき、「承認」ボタンを押していなかったら、「語源図鑑」シリーズは絶対に存在していません。

「laboratory」と「lavatory」の違い、知っていますか

【三宅】英単語の語源図鑑』の巻頭で、「語源で学ぶ3つの効果」について書かれています。1番目は「同じルーツ(語源)の単語を芋づる式に増やせる」こと、2つ目は「語源を知ると、単語の正確な意味が見えてくる」こと、3つ目は「語源とイラストのイメージで、記憶に強く定着する」ことですね。

【清水】はい。もう1つ付け加えると、「英語の勉強が楽しくなる」ということですね。

【三宅】それは非常に大事なことですね。「語源で覚える」というのは、先生ご自身が実践されていた学習法なのですか?

【清水】そうです。大学時代、自分の語彙力を伸ばすためにはどうしたらいいか、真剣に悩んでいた時期がありました。結論としては、「つべこべ言わずに大量の英文を読むしかない」と覚悟を決めたものの、どうしても覚えられない単語が2つあったのです。それが「laboratory(実験室、研究室)」と「lavatory(洗面所)」。もちろん文脈の中でなら区別は容易につくのですが、単語だけを示されると、何度見ても「どっちがどっちだっけ?」と区別がつかなかったのです。

【三宅】私もたまに迷います(笑)。

【清水】ですよね(笑)。しかし、あるときスペリングを眺めていたら、「laboratory」の中に「labor」という単語が入っていることに気がつきました。もしかしたら「労働」という意味の「labor」なのかなと思って、大学の図書館に行って語源辞典を調べたら、やはりそうでした。しかも、接尾辞の「‐ory」は場所を表すことがわかって、「労働する場所、研究する場所」だから「laboratory」になる、ということがわかったのです。

【三宅】急にすっきりしたと。

【清水】ええ。同じように「lavatory」も、「lava」は「流れる」という意味があって、「流れるところ」なので洗面所になる。「lava」はほかにも「laundry(洗濯物)」とか、「lavish(お金を湯水のように使う、気前が良い)」「lava(流れる溶岩)」「lavender(ラベンダー、かつて浴用の香料として使われていた)」といった単語にも反映されています。そういうことがまとめて覚えられることがわかってからは、語源を意識しながら単語を覚えるようになりました。

もちろんいまだにわからない単語もたくさんあります。しかし、語源からたどると、「なるほど、そうだったのか!」という驚きがいまでもあるのです。その感動と、学習効率のよさをみなさんに知っていただきたい。そういう思いがありました。