人生が雑誌だとしたら、人はみな自分の人生の「編集長」です。おもしろいこと、役立つことを見つけてきて、集めていけばいいわけです。

「書く」というのは「編集」に近い行為です。誰しもがすでにある情報や言葉を組み合わせて文章にしているにすぎないからです。

「書く」の前には「取材」がある

「書く」の前には「取材する」が必要です。ネタがなければ寿司が握れないのと同じように、ネタがなければ文章も書けません。

取材をしてネタを仕入れないと「さあ、書こう」と思っても書けない。あたりまえのことですが、ここで止まっている人は多くいます。書けないと嘆なげく前に「きちんと取材をしたかな?」「ネタはあるのかな?」ということを確認してみましょう。

よく「どう書くか」にこだわる人がいます。「どういう表現がいいかな」「どうすればきれいな日本語になるかな」と悩んでしまう人です。

しかし、そこに悩む時間があるなら「何を書くか」というネタにこだわりましょう。

ぜんぜんおもしろくないことを、一生懸命きれいな言葉で書いても、そんなに読まれません。おもしろくないものがおもしろくないまま届くだけです。

きれいなだけの文章は読みやすいかもしれませんが、スッーと流れていってしまいます。多少、日本語がおかしくても、文法が間違っていても、中身がおもしろければ届くのです。

おもしろい文章は、中身がおもしろい。おもしろくない文章は、中身がおもしろくない。ただそれだけの話です。

もちろん書き方でおもしろくする方法もいろいろありますが、それはあくまで最後のテクニック。まずはネタがおもしろくないとおもしろい文章にはならない。だからこそ「取材」に力を入れるべきなのです。

「取材マインド」を身につけよう

「取材する」といっても、普通の人は新聞記者のようにICレコーダーやカメラを持ち歩く必要はありません。「これは取材なんだ」というマインドを持っておくだけでいいでしょう。

たとえばラーメン屋さんに入ったときに、取材マインドがなければ、普通に食べて帰ってきます。すると、こんな文になるでしょう。

今日はラーメンを食べた。おいしかった。

もちろん備忘録や日記に書くのであればこれでもいいのですが、人に読んでもらいたいのであればこれではダメでしょう。