19日、フジテレビの報道番組に出演した時、菅氏は、東京だけ「Go To」から除外されたことを質問されると「都の財源があるのだから東京都でやればいい」と突き放した。どちらが正しいかはさておき、まさに国難という時期に、実に見苦しいせめぎ合いをしているのは間違いない。
自公で小池氏を推した都知事選。その直後からいがみ合い
ここで思い出してほしいことがある。7月5日に行われた東京都知事選だ。
この選挙では、再選を目指した小池氏が全体の6割近い得票率で、宇都宮健児氏、山本太郎氏らを蹴散らした。小池氏は表面上、どの政党からも支援を受けなかったが、実態は自民党、公明党の与党が支援して当選したことは誰もがみとめるところだ。自民党の二階俊博幹事長は昨年から小池氏の支援を公言してはばからなかったし、公明党は都議会でも小池氏と共同歩調をとってきている。
実際、選挙の2日後の7日、安倍晋三首相は、都知事選と、4つの選挙区で行われた都議補選で全勝したのを踏まえて「勝利は大きな励みとなる」と発言している。
都民の中には、自公両党に支援されていることを理由に、小池氏に1票を投じた人も少なからずいたはずだ。そういう人たちは、まさか選挙が終わったら数日で角を突き合わせるとは思わない。今起きている国対政府の不毛なバトルは都民に対する背信行為でもある。
都知事選の枠組みという意味では、公明党の小池氏の関係も微妙になっている。「Go To」トラベルの所管大臣である赤羽一嘉国土交通相は公明党所属。「今やる時か」「なぜ前倒しするのか」「制度があいまいだ」などの批判を一身に浴びた。政府側は、その赤羽氏に配慮する形で、全国一律での導入方針を土壇場で転換し、東京を除外した。その結果、小池氏と公明党の関係にも、すきま風が吹き始めているというのだ。
国民の生命に直結するコロナ対応に、政局を持ち込まないでほしい。これが国民の偽らざる心境だろう。