【経済】実質GDP20年7~9月期から回復、21年度は+2.3%

「20年6月5日に総務省が発表した家計調査によると、20年4月の2人以上の世帯の消費支出は26万7922円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同月比11.1%減少した」――。この減少率は比較可能な2001年以降で最も大きく、前年の水準を下回るのは消費税率を8%から10%へ引き上げた19年10月から7カ月連続となった。

過去最大の落ち込みとなった消費支出

こうした消費の極端な落ち込みは、新型コロナウイルス感染拡大防止で、20年4月16日に対象が全都道府県に拡大された緊急事態宣言発令に伴う、経済活動自粛の影響を受けたもの。08年のリーマンショック、そして11年の東日本大震災と、21世紀に入ってから日本経済は度重なる危機に直面したが、今回の危機は性質が大きく異なる。

「今回は危機対策で経済活動を止めることが必要でした。そして、多くの国が人々の移動制限や工場の操業停止に踏み切った結果、総需要、総供給の両面から過去に例を見ないほどの強さと速さで下押し圧力が働きました」と、明治安田総合研究所チーフエコノミストの小玉祐一氏はいう。

当然、政府も手をこまねいていたわけではなく、20年4月30日には事業規模で117兆1000億円の第1次補正予算を成立させ、そして20年6月12日にはやはり117兆1000億円もの事業規模の第2次補正予算を、矢継ぎ早に成立させた。同額の事業規模ではあるが、いわゆる「真水」に当たる国費は第1次が27兆5000億円なのに対して、第2次のそれは約33兆2000億円に積み上げられている。

そして、安倍晋三首相は第2次補正予算成立後の記者会見で、「100年に一度の国難といわれるなかにあって、先般成立した補正予算と合わせて事業規模230兆円、GDPの4割に上る世界最大級の対策で、日本経済を守り抜いてまいります。(中略)支援を一日も早くお届けして、事業の継続と雇用を、そして生活を守り抜いていく考えでございます」と語った。