景気の回復はL字に近いU字形

気になるのは20年5月25日に緊急事態宣言が全面解除され、経済活動が徐々に再開されてきた今後の景気の行方だ。BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏は「多くの国で事後的には20年4月が経済のボトムだった可能性はありますが、当初想定していたV字回復は難しく、U字回復、それもどちらかというとL字に近いU字形の回復が見えてきています」と話す。

小玉氏も「実質GDPの水準は20年4~6月期が底になり、20年7~9月期はペントアップディマンド(繰り越し需要)が蓄積している分だけ高めの伸びとなるものの、反動増一巡後の成長率は再び下がって、消費増税前の19年7~9月期程度まで回復するには24年1~3月期までかかるでしょう」と指摘し、実質GDP成長率を20年度はマイナス4.7%、そして21年度についてはプラス2.3%と予測する。

イェール大学名誉教授 内閣官房参与 浜田宏一氏
イェール大学名誉教授 内閣官房参与 浜田宏一氏

しかし、新型コロナウイルスに関してはパンデミック(世界的大流行)の第2波の到来も危惧されている。緊急時には追加の経済対策を機動的に打っていく必要がある。その際に懸念されるのが財政負担の急増だ。

ここで思い返したいのが、プレジデント誌20年6月12日号でのイェール大学名誉教授・浜田宏一氏の「日本の場合、国債の新規発行にこれといった経済的障害はありません。日本は世界最大の対外純資産を保有し、国民保有分も入れると、米国債の保有額は中国を抜いて世界1位です。積極的な財政政策を行うための条件はすべて揃っています」との指摘。

経済が破綻してしまえば財政の再建もありえない。状況に応じて、第3次、第4次の補正予算を躊躇なく打っていくことが大切だろう。