【株価】日本の一人勝ち、これが日経平均4万円のシナリオだ

厚生労働省が国内初の新型コロナウイルス感染者を確認したと発表した20年1月16日の翌日、日経平均株価は一時2万4115円95銭の年初来高値を付けたものの、その後は一転してダウントレンドをたどり、20年3月19日には1万6358円19銭まで下落。市場関係者の間からは「底抜けの状態で、どこまで下がるかわからない」と極端に悲観的な声もあがった。

しかし、その後はアップトレンドに転じて、20年6月9日には2万3185円85銭の戻り高値を付け、年初来高値からの下げ幅に対する戻り率は88.01%にまで達した。この株価の急反転については、押し目を狙った個人投資家の買いが活発に入り始めたことに加えて、日経平均と同様に米国のダウ工業株30種平均も下落から急反転して82.48%もの戻り率を達成しており、それに連動したという側面も大きい。

2020年に入ってからの日経平均株価の動き

「20年4月9日に米国のFRB(連邦準備制度理事会)は最大2.3兆ドル(約250兆円)に上る緊急資金供給策を決定し、ジャンク債(投資不適格の社債)まで対象にしました。そのことで企業倒産を防ぐFRBの強い意思が示され、米国の株式市場には買い安心感が一気に広がったのです」と、フィスコ企業リサーチレポーターの馬渕磨理子氏が米国の株価上昇の背景を説明する。

さらに、需給面での要因も株価の上昇を加速させた。的確な市場予測で定評のある経済アナリストの中原圭介氏は次のように分析する。

内閣総理大臣(首相) 安倍晋三氏
内閣総理大臣(首相) 安倍晋三氏(時事通信フォト=写真)

「多くの機関投資家は、景気の先行きに対してU字回復や、L字の右側が緩い上向きのカーブになる回復といった弱気の見方をして、先物市場で売りポジションを取っていました。しかし、足元の株価が急上昇して売りポジションの解消を余儀なくされ、買い戻しの動きに転じます。その結果、現物市場でも買いが買いを呼ぶ“踏み上げ相場”が演じられるようになったのです」

翻って見ると、安倍首相は20年3月10日の政府与党連絡会議の席上、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な株価急落を踏まえて、「各国当局、日本銀行とも連携を密にしながら、必要とあらばG7、G20の合意に沿って適切に対応をしていく」と述べた。そして、日本銀行は20年3月16日の金融政策決定会合でETF(上場投資信託)の購入枠の年間12兆円への拡大を決定。日本の株式市場における買い安心感を誘った。