9月以降は地域共通クーポンの参加事業者もそろう

学校が夏休み期間の家族旅行も、今年は春先の休校により夏休みが短いので、限られた期間に人が集中する。夏以降も、見頃が限られる紅葉の名所などでは、ロープウェイも今年は定員を削減して運行するとなると、早く行っても事前予約が必要だったり、整理券配布が終了していたりして諦めて帰ることになるかもしれない。

9月以降は地域共通クーポンの参加事業者もそろい、各旅行会社からお得感のあるキャンペーン商品も出てくるだろう。宿泊施設からも支援枠をフル活用しようと、練って考えられた充実の商品が増えるはずだ。

新型コロナウイルスによりインバウンド旅行者はほぼゼロとなり、観光事業者は数カ月間にわたり消失した売り上げをキャンペーンで取り戻したいと考えているだろう。「Go To トラベル」は旅行需要回復に時間がかかる想定の中、より高単価高付加価値の新商品を特別割引で新たな客層に提案できる絶好のマーケティング機会と考えるべきで、単に既存商品の期間限定お得セールに終わらせず、これを機に近隣住民から普段は海外旅行に行く日本人や日本在住外国人、さらにはその先の訪日外国人まで、幅広い層を惹きつける地域色の強い新サービス・新商品を意欲的に投入することが期待される。

キャンペーンは来年春まで続く見通し

観光庁の「Go To トラベル事業の概要」では、「旅行需要の平準化に向けた取組」として秋冬春までキャンペーンを継続する旨を図示しており、企画競争の議事にも「特定の地域や時期などに旅行者が集中しないよう、満遍なく地域の観光消費の拡大につなげるための割引原資の執行の工夫が提案されている」とコメントされている。おそらく、キャンペーン開始後に申し込みが殺到して短期間に終了とならないよう、第2期、第3期などと分けて募集をするのではと思われる。

「Go To トラベル」に限ったことではないが、宿泊に往復交通が含まれる国内ツアーの場合、出発日の20日前からキャンセル料が発生する。宿泊のみの場合は各施設により異なるが、だいたい1週間以内だ。出発が近づいたら、取消料がかかる前に目的地や自身の周りなどの状況から、旅行に予定通り行けそうか確認したい。

【図表3】国内旅行の取消日と取消料(宿泊予約のみの場合は異なる)

出発当日に自身や同行者に発熱が見られる場合、旅行を中止せざるを得ないリスクもある。無理を押して出掛けても、空港ではサーモグラフィーで搭乗者の体温をチェックし、宿・ホテルや観光施設でも入場時に検温の上、発熱が認められれば宿泊や入場を断るという対応を多くの事業者が取るようになる。旅行開始前であれば当日でもキャンセルに対して旅行代金の一部は戻ってくる。旅行に行くべきか、今は行くべきではないか、個人の正しい最終判断が求められる。