フェアトレードから、被災地の「楽器」の話まで
【佐藤】構成も、とても考えられています。例えば東京書籍の3年生の教科書は、次の六つのユニットから成っています。
「海外でも愛されている日本の文化(Pop Culture Then and Now)」「広大なアマゾンの熱帯雨林から受ける自然の恩恵(From the Other Side of the Earth)」「フェアトレードがかえる社会のしくみ(Fair Trade Event)」。「フェアトレード」は、地理でも出てきました。そして、「被災地の流木から作られた楽器がかなでる音色(To Our Future Generations)」「ロボットと暮らす未来(Living with Robots‐For or Against)」「アウンサンスーチーの目指す世界のあり方(Striving for a Better World)」。このそれぞれに、登場人物同士の会話や説明文が上手に組み込まれている。
【池上】本当に、つくりが現代的で立体的です。
【佐藤】これらをマスターすれば、頭で考えなくても、英語が反射神経に操られてスラスラ口から出てくるようになるでしょう。グローバル時代恐れるに足らず。サバイバル戦には、それで十分生き残れるはずです。
騙されたと思って、中3の教科書を音読してほしい
【池上】実際には、仕事上必要になる専門用語などを覚えなくてはなりませんけど、それも基礎的な形が頭に入っていれば、さして難しいことではありません。
【佐藤】外交官、通訳、メディアの国際部の記者、外国人相手のビジネスマンといった職業に就いていれば別ですが、それ以外の大卒者の英語力は、大学に合格した時点がピークです。その後は、実力が下降線をたどり、40歳くらいになると中2レベルに戻ってしまう。それではあまりに寂しいし、サバイバルの上でも大いに不安だから、再び中3までもっていって、最低限それをキープすることを考えればいいのです。
【池上】騙されたと思って、中3の教科書を中心に隅から隅まで何度も音読する。英語については、シンプルにそれを実践しましょう。