自分が何者かを言えることが、周囲から愛される第一歩

【小林】僕も英語はそれほど得意ではありませんが、直接アメリカに渡って有名メディアの日本語版のライセンスを取得してきましたからね。よく「どのエージェントにどれだけ手数料を払ったの?」とか聞かれますが、そんな概念すらなかった(笑)。友達になろうと思って、直接訪問して話しただけ。

小林 弘人『After GAFA』(KADOKAWA)
小林 弘人『After GAFA』(KADOKAWA)

【尾原】ジェフ・ベゾスと交渉して日本にアマゾンを持ってきた西野伸一郎さん(現富士山マガジンサービス社長)も、そんな感じですよね。かえって言語は不自由なほうが、真意が伝わりやすいこともあります。

【小林】ボキャブラリーの豊富さより、自分が何者なのか、何がしたいのかを熱意を持って伝えることですよね。そういう確固たるものがあれば、相手は耳を傾けてくれるはずです。

例えば、英語が母語ではないあるF1ドライバーが勝利者インタビューで話す英語は、聞き取りづらい上に大したことは言わない。でも勝利者の言葉だから、みんな一言一句漏らさず聞き取ろうとするわけです(笑)。まあ、伝える努力を怠ってはダメだと思いますが。

【尾原】自分が何者かを言えることが、周囲から愛される第一歩。愛でつながると、摩擦はより楽しくなりますからね。

(構成=島田栄昭 撮影=小野田陽一)
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