公的年金受給の目前で住宅ローンや教育費負担が残っている人も多い

フコク生命が全国の20~60代を対象に実施した「70歳までの就労意識」に関する調査(※)によると、70歳まで自分が働いているかの予測については、「就労していると思う」が53%、「就労していないと思う」が47%と、ほぼ半々となっている。

※出所:フコク生命「70歳までの就労意識」(2020年3月27日)

ひと昔前までなら、「70歳なんて、そんなに長いこと働きたくないし、働けない」と思っている人が多かっただろう。だが今年3月には、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が成立。60歳定年後も、より就労を継続できる雇用環境が整備された形となった。

すでに65歳まで再雇用で働く人も多くを占め、もはや、社会全体が70歳まで働くのは当たり前といった雰囲気になりつつある。

その一方、同調査で、「長期的に働く場合に感じる今後のリスク」を聞いたところ、最も多かったのが「病気」だった。次に、働けない状態が続く「就業不能状態」や「入院」、「ケガ」となっている。

実際、病気やケガなどで、本人または家族や知人が就業不能状態になった経験のある回答者は、調査対象のうち約3割にのぼった。

これらのうち、就業不能状態になった期間については、「30日未満」が37%、「30日以上1年未満」が41%、「1年以上」が22%となっていて、「1カ月以上」続いたという人が63%以上にものぼっている。

この調査では、就業不能状態が何歳の頃に起きたものかは不明だが、相対的に、高齢になるにつれ、病気やケガなどのリスクは高まる。

定年退職後で、公的年金受給は目前といえども、住宅ローンが残っている場合や子どもの教育費負担がある場合などもある。

一般的にできるだけ長く働きたいという人は、その理由として「仕事に生きがいや喜びを見出したい」「健康でまだ働けるし時間的余裕もあるから」といった項目を挙げる。ただ、現実的には昨今のプレシニア(40代後半~50代)の懐具合を見る限り、生活のために働かざるを得ないケースも多いはずだ。

アクティブなシニア男性
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