「ストレスに耐えられない自分が悪いのだ」と、そんなふうに自分を責めていましたが、HSPだと気づいたことで心が軽くなりました。ひたすら耐えようとしていたこと自体が間違っていたと気づき、繊細さを含めて自分を大切にしたいと思うようになりました。自分のHSPという気質に気づかなければ、そのまま職場で「タフにならなきゃ」と頑張り続けたかもしれません。しかし気づいたことで「今の職場では自分を生かせない。ほかに何かやりたいことをやろう」と、会社を辞めてフリーランスへと踏み出せました。

上手に社会を生き抜く方法とは

まずは「自分を知ること」が自分を生かし、元気に生きるための第一歩。そのうえで、自分の本音を大事にすることが大切です。どんなに必要とされていても、「これ以上やったら自分が大変だ」とわかったら、頼みごとを断っていいのです。「大変だな」と思ったらタダで引き受けるのではなく「今回は引き受けますが、その代わり次の仕事では助けてくださいね」など、ギブ&テイクの精神で臨むのもいいでしょう。

繊細さんが元気に働くには、自分に合った環境を選ぶことが大事です。職場でいえば、「やりたいこと」「得意なこと」「自分に合った職場環境や労働条件かどうか」の3点が満たされると「適職」となります。「やりたいこと」のなかでも、繊細さんたちに大事なのは、その仕事を自分がいいと思っているかどうかです。

たとえば、営業の仕事の場合、繊細さんからは「自分がいいと思っていない商品を勧めるのは、嘘をついているようでストレス」というお話を聞きます。世の中には「仕事だから」と割り切って働ける方もいますが、繊細さんは自分の心の違和感にもよく気づきますから、なぁなぁでやることが難しいのです。また「昇進試験のために勉強しなければいけないけれど、実は今の仕事に興味を持てなくてつらい」といったご相談もあります。要するに、自分の良心にかない、かつ興味のある仕事をすることが必要なのです。

しかし、誰であれ、一発で適職に就くのは難しいことです。特に1社目では「これをやりたいと思って就職したけれど、実際にやってみるとそこまで好きじゃなかった」ということが起こりやすい。実際に働いた経験をもとに、「これまでの仕事の中で、集中していた業務や、好きな業務はなんだろう」と思い出していただくと、自分が何をやりたいのかのヒントを得られます。