マスクを机に置くときは「内側」を下に

米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』「Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1」などの論文で、布や金属などに付着したコロナウイルスが、感染力を有したまま長時間生存していることが報告されている。

感染していない人がマスクを着用する場合、マスクを一時的に外して保管する場合には、マスクの内側の「衛生エリア」とマスクの外側の「汚染エリア」を意識して区別する必要がある。

衛生エリア:マスクの内側の口や鼻の当たっている部分
汚染エリア:マスクの外側の表面
マスクを机に置く場合

感染対策が目的でマスクを着用して、そのマスクを机に置く場合は、マスクをお椀を伏せるように(口や鼻が当たっていたの内側の衛生面を下にして)置くことが基本となる。この場合は、除菌シートなどで机を除菌するか、きれいな紙ナプキンの上に置かなければならない。

※青い面を外側にして着用するマスクを使用
筆者撮影
※青い面を外側にして着用するマスクを使用

多くの人は、外したマスクをそのまま置くことをイメージしているかもしれない。マスク外側の汚染エリアに付着したウイルスを机に付着させてしまうことは、その後に机を使用する人へ接触感染をさせてしまう危険性がある。このためそのままマスクを外す場合には、紙ナプキンの上にマスクを置き、前後にテーブルの消毒が必要となる。また、マスクの内側の衛生面に周囲からの飛沫を落下、付着させる危険があるため、衛生面の部分に除菌シートなどをかぶせておく必要がある。

※青い面を外側にして着用するマスクを使用
筆者撮影
※青い面を外側にして着用するマスクを使用
ポケットに入れる場合

外出先で洗うことなしにポケットに手を入れた場合は、手に付着しているウイルスがポケットの中にまで付着してしまうと考えるべきだ。そのため、使用中のマスクをポケットに入れる場合は、衛生面を内側にして折りたたんで入れたほうがいい。その際、できるだけマスク衛生面に触れないように端を持って折りたたむ。マスクを外す前や着用前には手を洗うという意識も重要となる。

クリアファイルを活用するという手も

ケースに入れる場合

専用のマスク保管ケースがあればいいが、ない場合はクリアファイルなどの活用が考えられる。その場合、マスクの衛生エリアを内側にして折りたたんで保管するべきだ。どのようなケースであっても、衛生エリアと汚染エリアが接触してしまう面をしっかり区別しなければならないことに注意だ。

※青い面を外側にして着用するマスクを使用
※青い面を外側にして着用するマスクを使用(筆者撮影)

仮にマスクの衛生エリアを外側にして折りたたんだ場合は、紐の接触などにより衛生エリアが汚染してしまうし、折りたたまずにそのまま保管してしまうと、つけ外しを繰り返しているうちに衛生エリアにウイルスを付着させてしまう可能性がある。

クリアファイル内は、全面汚染エリアになるので適宜除菌ティッシュなどで拭くと安心だ。1回使うごとに捨てる必要はない。

そもそも、飛沫が常時拡散しているような環境や、換気が悪く、人が密集密接したお店では、マスクを外すべきではないし、マスクを外して対面で食事をすること自体が感染リスクを高める。

それゆえに、このようなマスクだけのことを実践しても感染リスクがゼロになるわけではないことも知っておく必要がある。複数の対策によって、感染リスクをいかに減らしていくかが重要となる。