新型コロナウイルス対策でマスクが手放せない。飲食をする際など、外出先で一時的にマスクを外すときに気を付けるべきことは何か。聖路加国際大学公衆衛生大学院の大西一成准教授は、「マスクの外側や繊維内にはウイルスが付着している。そのため、机に置くときは、マスクの内側を下にすることが基本となる」という——。
正しい着用方法と同時に「外し方」にも要注意
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、「新しい生活様式」を意識し、一人ひとりが感染防止のことを考えながら生活をしていかなければならない。
中でも、感染防止および感染拡大防止対策の一つとして、常時マスクを着用して生活を行わなければならない状況が続いている。その際、一時的にマスクを外すときの保管方法について、よく質問を受ける。
具体的な保管方法を説明する前に伝えておきたいことがある。感染対策や粉じんの吸引防止を目的に着用するマスクは、例外なく、使い捨てフィルターもしくは取替式フィルターでの運用が前提となっており、再利用や洗って使用するということはもともと一切想定されていないということだ。
せっかく有害な粒子をマスクで捕集しても、顔や手などに再付着させて吸引や感染してしまってはまったく意味がない。ゆえにマスクを扱う場合には、着用方法だけでなく、外し方にも十分な注意が必要だ。マスクを中途半端に扱うと、場合によっては命を落とすことにつながりかねない。
マスクを外して他人へ手渡したり、ポケットに無造作に入れたり、そのまま机の上に置いたりする行為は、感染力を有するウイルスが存在しない環境で着用したマスクであるという前提でしか許されない。
感染予防のためにマスクを着用している場合は、ウイルス飛沫が存在しているという前提の生活であるため、マスクの外側表面や繊維内には感染能力のあるウイルスが付着していると考えて行動をしなければならない。