企業攻撃や他国への工作はもはや日常的

今、インターネットなどネットワーク化されたデジタル世界、すなわちサイバー空間では、こうした工作が至る所で行われている。

山田敏弘著『サイバー戦争の今』(ベスト新書)

ビジネスでは日韓関係悪化に伴う冒頭のような企業を狙ったサイバー攻撃が日常的に行われ、一方で安全保障の面では他国への選挙介入や核施設へのサイバー工作など、各国が水面下で「サイバー戦争」を繰り広げているのである。物理的な軍事衝突が起きるような現場でも、サイバー攻撃なくして戦闘で勝利はないという時代になっている。紛争がない平時でも、世界各国はサイバー攻撃で、有事に向けた準備を活発に行う。国家間の交渉なども優位に運べるよう、サイバー攻撃でスパイ工作をするのも常識だ。

筆者の新著『サイバー戦争の今』(ベスト新書)では、そうしたサイバー戦争の実態を関係者などへの取材から浮き彫りにし、国際情勢や外交、社会問題などとの関連性を踏まえて、「サイバー空間」という人類の歴史におけるまったく新しい領域が、世界中の人々にどんな影響を与えるのかについて読み解いていく。

日本には準備ができているのか

もはやサイバー空間では、犯罪も、戦争も、スパイ工作も、手段はそう変わらなくなっている。パソコンやネットワークに侵入し、内部のシステムを不正に操作する。銀行口座のパスワードを盗むことから、セレブのプライベート写真を盗んだり、企業のパソコンの情報をほとんど消去することも、工場で作業を不正操作して破壊をもたらすことも、停電も、コンピューターで実行できてしまう。

世界では、これからますますデジタル化やネットワーク化、AIによるオートメーション(自動)化が進む。先進国である日本も、そんな世界を先導していくことになる。だが、日本はそうした世界に向かう準備はできているのだろうか。世界の現実を知った上で、日本の現状とこれから進むべき道を探ってみたいとも思う。

人類がもう切り離すことができなくなったサイバー領域で繰り広げられているサイバー戦争の実態が、同書を読めば余すことなく理解できるはずである。

【関連記事】
「地獄が始まった韓国経済」通貨大暴落! 頼み綱の日韓スワップも締結至らず
「公務員の年収」が高い自治体トップ100・低い自治体ワースト100
日本人の「手作り布マスク」を見て、中国人が「この発想はなかった」と感動するワケ
韓国でGU全店閉鎖を招いた「異常な反日」が終わりを迎える理由