過去5年の「4月」の東京都の死亡者数は平均9049人、2020年は1万107人
公表されている新型コロナ感染症による死亡者数は、PCR検査が十分に行われていないために、過少となっており、実際にはもっと多いという疑惑がなかなか消えない。そこで今回は、例年より死亡者数がどれぐらい多いかを示す「超過死亡」から実態を検証してみたい。
全国の月別の死亡者数については、死亡届のカウントによる方法で人口動態統計の速報で公表される。これは時期的には翌々月末にならないと分からないが、東京都の死亡数は、「東京都の推計人口」の発表にともなって翌月末には公表される。そのため代表例として、東京都のデータ(4月分)で超過死亡を算出したい。
なお例年であれば、前月の死亡数は翌月末には公表されるが、今年は新型コロナの影響で遅れたようで、4月分の公表は6月11日だった。
図表1に結果数字を示した。図表2はこれをグラフのかたちで示した。グラフには各年のばらつきを見るため、過去5年の毎年の推移も薄い線で示した。
過去5年間の毎月の東京都の死亡者数を平均すると、3月1万271人、4月9049人だったが、2020年の死亡者数は、3月1万694人、4月1万107人となっており、超過死亡数は、それぞれ423人、1058人と算出される。
なぜ、2020年3~4月には、例年になく死亡者数が多かったのか
すなわち、2020年の3~4月には、例年になく死亡者数が多かった。
例年になく死亡者数が多い場合、通常はインフルエンザの影響が疑われる。しかし、2019/20年冬のインフルエンザの流行は例年より早く3月には収束している。従って、この超過死亡は、新型コロナの何らかの影響と見るのが妥当だろう。
つまり新型コロナ感染症を死因とする死亡だけでなく、それが広がったことによる社会的・心理的影響による間接的な死亡、すなわち、病院の一般患者受け入れ困難、あるいは感染を恐れて病院に行かなかったことによる病死、さらに経済的・精神的な理由による自殺などが含まれるはずだ。
東京都が発表した新型コロナによる累積死亡者数は6月14日時点で314人だが、4月末の段階では120人だった。前述した3、4月の超過死亡数を合計すると、1481人なので、実際の死亡者数は公表値の10倍以上ということになる。
今後、人口動態統計の死因別死亡者数が集計・公表されれば、この時期に肺炎など呼吸器疾患による死亡が特に多かったのか、それとも、全般的に死亡が多かったのかで、超過死亡の要因ももう少し明らかになるだろう。